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俺の平穏な日常を壊すのは誰だ  作者: 土原和正
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夏休みのとある日。

 その日は朝からうだるような暑さで俺の体力と気力をごっそりそぎ落としていた。

「ったく、クソ親父! だからあれ程エアコンを見てもらえって言ってたのに!」

 数日前から異音を発していたエアコンがついに壊れたらしく、スイッチを入れると猛烈な熱風が吹き出す始末である。

「しょうがないな……ゲーセンでも行って涼んでくるか」

 家から自転車で十分くらいの所にあるゲーセンで週に一度ぐらいは行っている。景品、メダル、カード、ビデオゲームなどがあるのだが中でも一番俺が得意としているのが対戦格闘ゲームだ。 

 当然、腕に自信があるので対戦しても負けない。つまり百円で結構な時間遊べることになるから今の俺の涼みたい欲求を満たすにはぴったりのゲームである。

「よし! やるか!」

 お目当ての対戦格闘ゲームに百円を入れてゲームを始めると次々と対戦相手が現れる。その敵を倒して店内のエアコンの涼しさを満喫していた俺に衝撃が走った。


 KO!


「えっ?」

 ゲーム画面の俺のキャラが相手の技で飛ばされてHP0になり倒れていた。

「あははは……ちょっと余裕こき過ぎたかな……」

 それからが酷かった。千円使って全敗。このゲームは先に3勝した方が勝ちになるシステムで全てがストレート負けだったので30戦全敗って事になる。

俺はこれほど完膚無きまで敗北させられた相手がどんな奴なのか気になり対戦台の向こう側を覗くと、そこには幼い顔をして目がクリッと大きいかわいい女の子が座っていた。

 えっ! 俺、あの子にボコボコに負けたの!?

 その女の子は覗きこんでいる俺に気づきにっこり微笑んでぺこりと頭を下げた。

 俺もおじぎを返して飲み物の自動販売機がある所に移動した。

「涼みに来たのに逆に熱くなってどうすんだよ、俺」

 独り言をつぶやきながら冷えたコーラで心をクールダウンする。

 しっかし、あの娘、強かったよな。俺もそろそろ格闘ゲーム引退かな…………。

 そう思いながら今しがた俺を倒したかわいい女の子の方に目をやると異変が起きていた。

 その女の子がタチの悪そうな三人組の男に囲まれていて明らかにイヤそうな顔をしている。

 放っておいても構わなかったんだけど考えるより先に行動にでる(のちに昌に指摘された)性格が災いしてさっきまでゲームしていた機械に向かって歩き出していた。

「ったく、しょうがねーな」

 頭を掻きながら三人に囲まれている女の子の所に行って、つとめて明るく大きな声で言った。

「待った? コーラ買ってきたよ!」

 俺は手に持ったコーラを彼女に差し出した。

 彼女は一瞬戸惑った様子を見せたがすぐに俺の意図を理解したらしく俺の差し出したコーラを受け取りうまく話を合わせてくれて

「ありがとう。じゃあもう帰りましょう」

 と言って席を立って俺と一緒に歩き始めた。

 あの三人組が声をかけてこないかとヒヤヒヤしたが、諦めたようで俺たちに絡んでくることはなかった。

「ありがとうございましたぁ。助かりましたぁ」

彼女は深々とおじぎをして手にしているコーラを飲み始めた。

「えっ、そ、それ……」

「あーっ! ごめんなさいですぅ! のどが渇いていたので、つい…………」

 そう言って彼女は今飲んだコーラを俺に返した。

「あー、でも、これだと間接キッスになっちゃいますねぇ。えへっ」

 えへっ…………じゃねぇよ。ってかその前に俺が飲んでるし…………。

 そのあと少しゲームの話をして家に帰ったんだけど、その娘が長瀬真美ちゃんだと知るのはそれから1年後に今日子が新しい友達が出来たと紹介してくれた日のことになる。

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