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①
プロローグ
私立神楽坂総合学園高等部
陽も既に落ち切って校舎が夜の闇に飲まれてしまいそうな時。
生徒たちが全て下校し人影も全く無くなった校舎の一室から男性と女性の話し声が聞こえてくる。
「はい。分かりました」
「君には大変な事を押し付けた形になって申し訳ないが……あ、イテッ」
どうやらこの暗闇のせいで何処かに頭をぶつけたらしい。
ガラガラ! ドン! ピシャン! バタン! ドシャン!
頭をぶつけたのが要因になり次から次へと物が落ちたり足を引っ掛けたりしている。
「いてっ! いた! おぉっ! うぅー! ぎゃーっ!」
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。しかし今度から話をするときは何処かもう少し明るいところでする事にしよう」
そう情け無い声で話す男に女はクスクス笑いながら「はい」と答えた。
そんな緊張感のあるのか無いのかわからない会話は夜の闇に溶け込んで消えていった。