山火事
Ⅰ
なにやら、光っていた。夜の中で光が羽のごとく踊っていた。妖しく光る炎があいつらを焦がし、もてあそんでいた。あいつらの顔はただれ、醜く歪んでいる。あいつらを焦がす炎は丸く提灯のように、夜闇の中をくるくると優雅に舞っていた。あいつらが痛みに悲鳴を上げるたびに、炎の提灯の表面に金色の筋がすうっと走った。そして、ますますごうごうと燃え盛る。僕はその光景を他人事のように傍観していた。
何故か痛みを感じない。あいつらの様に悲鳴を上げていてもおかしくない程火炎のまっただなかにいるのに、僕は落ち着き払ってぼうっとしている。神経が麻痺でもしているのだろうか。ともかく、そんなこと僕には分かりそうにもない。ただ一つ分かるのは、僕はあいつらとは何かが違っていると言うこと。
足元が熱に浮かされたかのようにふわふわとしていて、立っている感覚が無い。あいつらの悲鳴が耳をじんじんと震えさせている。僕は余裕しゃくしゃくのように長いため息をついた。
-なんでだろう。僕はあいつらが苦しんでいる様を見ると、すごく楽しいんだ。
ふと思った言葉に、僕は自分で苦笑いをした。僕の内面がもうぐちゃぐちゃなことに、いまさら気付く。ずっと昔から僕は腐っていたよね。いや、あいつらに腐らされていったよ。憎しみでどんどん、腐っていった。だからあいつらの苦しむ様を見ると-楽しい 面白い-なんていう感情が出てくるのだろう。だが、もうこの状況からして、僕は死ぬのだ。余計なことなんて、何も考えなくていい。そうだ。
僕はあいつらの悲鳴を聞いてニタニタ笑った。自分でも気持ち悪いだろうと思う。だが、死ぬ前に一つ疑問があるんだ。
-どうして、こんなことになったのだろう。
初心者ですので、見苦しい点がありましたらどうかアドバイスを下さい!