小さな悲鳴
俺は自分のことを何もわからない。
自分の名前も年齢も親も何もわからない。
物心ついたときからそうだった。
俺の毎日は想像を絶するほど、酷いものだ。
奴らは俺の本当の親じゃない。
幼かった俺をどこからかさらってきたんだ。
もちろん、抵抗した。だが、大人数人相手にかてるわけがない。
奴らは毎日のように、俺の体を無理やり開き、あらゆる異物を詰め込んだ。
ときにはそれらの異物を取り出すこともあった。
ただ中を覗くだけで何もしないときもあった。
俺はつらかった、毎日のように体を弄ばれるのが苦痛だった。
死にたかった、でもそれは無理だった。
狭い空間に閉じ込め、奴らが俺を動けないようにした。だから体が動かせなかった。
それに奴らは俺が死なないようチューブのような物で俺に栄養を送り続けていた。
それが何かはわからない。ただ体がしびれるようなものだった。
一種の拒絶反応だったのかもしれない。
世界中に俺と同じ理由で苦しんでいる奴がいる気がして切なくなる。
俺の存在意義はなんだろう・・・。なぜ俺は生まれてきたのだろう・・・。
この生活が何年経っただろうか・・・最近、もう少しで楽になれる予感がしてきた。
俺は近いうち死ぬだろう、そして俺の代わりがつれてこられるかもしれない。
俺はこの恨みを忘れはしない、絶対に・・・。
ブゥーン・・・。
真夜中、小さく寂しげな機械音が冷蔵庫から聞こえてきた。