第一話
唐突ではあるが世の中には二種類の人間がいて。まぁ、つまるところ男と女だが………
世の中の大半の男性はこう感じてるはずだ……
女には勝てないと!!!
「うん、まぁお前の場合は特にな」
と、今日も楽しそうな川谷美咲はそう答えた。そして、バカにするように笑い
「第一、相手が相手だからねぇ」
と、続けた。
「確かに……まぁ、アレはな……頭おかしいから」
そう、俺はいつも通りもはやテンプレとかした返答をした。
「そんなこと言ってるから殴られるだろ」
彼女のいつも通りの返答を聞きながら、俺は欠伸をして少し遠い席に座っている橘 亜紀の姿を眺めた。
世の中に星の数ほど女性はいるが、あそこまでたちの悪いのはそうそういない。てか、あれは人の皮を被った鬼か悪魔だ。
これが俺の橘に対する評価だ。
まぁ、単純に言えば捻じ曲がった根性ゆえの性格の悪さと、すぐ手がでるという最悪の女なのである。
付け加えおくが無論の事、超がつくドSだ。
「まぁ、今更殴られる程度でどうこう思いはしないけどな」
そう呟きながら、机に向かいやる気のでない授業に戻った。
世の中不思議なもので……いや、俺が単なるもの好きなのかもしれないが、俺はそんな悪魔が好きだったりするのだ。
美人じゃないし、性格は最悪、可愛げも無いような奴ではあるが、バカが一人ひっかかった訳である。
そんな事をボーッと考えていた俺が
「おい田村、ここ答えろ」
と教師に当てられ、答えられなかった事は言うまでもない。