おしごと
オウルが外に出ると、照りつける日差しに目をつむる。薄明るいところにいたとはいえ、外の光とは比べものにならない。
「で、畑はどこだ」
「向かいの裏よ。さっさと行きな」
偉そうに指図され若干イラつくオウルだったが、文句は言わず裏に向かった。
そうして畑につくと、なぜかホークがいた。
「あ、久しぶり」
ホークは会った時の格好に加え、頭に布を被っている。
そして、鍬を持って農作業をしていた。
「なんでお前はここにいるんだ」
オウルはホークがここにいることに疑問を持った。
「人畜無害を証明したらあっさり離されて、じゃあ畑手伝えよって」
ホークはあっけらかんにそう言った。
「お前本当に武器無いのか」 オウルは呆れてため息をついた。
「うん。だって相手を殺すものなんて、必要ないよ」
ホークは苦笑しながらそう言った。
「お前が追い詰められたら、どうするつもりだ」
「うん」
「いや「うん」じゃなくて」
「その時は、その時、かな?」
「なんだ、勿体ぶって」
苛立ちを隠さずにオウルは問う。ホークといるとどうにもペースが乱れるらしい。
「いやまあ、大丈夫じゃないかな?」
「お前……」
わなわなとオウルが震える。
「うん?」
「そんなんでこれから先生き残れるかー!」
オウルはホークの頭を万力した。
「あだだだだだ!」
「おい、お前らサボってるんじゃねえぞ」
するとおっさんがこちらに気づいたらしく、働けと言ってくる。
「へーい」
オウルは軽く返事をする。そして再びホークの方に向き直った。
「ともかく。武器が無いなんてのは前代未聞だ。その鍬でもいいから持ってろ」
「ええーそんな殺生な」
「殺生しないと自分が死ぬだろ。俺がいなかったら死んでたくせに」
「それは、そうだけど。アレはただ水が無くて……」
「それもおかしい。水の確保は最優先だろ? どっちにせよ、お前は旅には向いてねえよ」
「そうか、水が欲しいのか」
ふと横から声が割って入り、オウル達の体が水で濡れる。
「うわっ」
「うおっ」
「お前ら、そろそろ口より手を動かせ。でないと本気で怒るぞ」
おっさんはドスのきいた声で二人に警告する。
「あ、はい」
ホークは小さく返事をするとすたこらさっさと行ってしまった。鍬を下ろす様は、誰から見ても腰が引けているのがわかる。
「なんだあれ。遊んでるのか?」
「さあ……」
オウルはホークが怒られている声を聞きながら、鍬とともに土と格闘し続けた。