表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/35

黒薔薇と破壊者


大変長らくお待たせいたしました!

なんと2カ月も空いてしまうという失態…

申し訳ないです。。。


それではどうぞ!





 「あら、可愛いイヤリング!どこで購入したの?」


 「城下町にある『サルド』という店くでございます。もし、お気に召されたようでしたら、今度お贈りさせて」

 「私には若過ぎるわ。着けたらフリージア様辺りに、また嫌みをいわれちゃう。もーね、酷いのよ、妬みっぷりが。若さは罪って、実感したわ。貴女たちも気を付けたほうがいいわよ。ところで、何か面白い本知らない?最近暇なのよね」


 「それでしたら、テレンスの詩集など如何です?最近新しい物が発売になったばかりで」

 「ああ、テレンスの詩集ね。もう読んでしまったわ。そうそう、ねぇメイシャ、陛下の誕生日パーティーでやるルーファスの催し物って、何だか知ってる?」


 「ふえっ!え、えと、知らな、いえ、存じ上げません」


 「あら、そう。陛下の誕生日パーティーといえば――」


 空気破壊者――第5王妃アイリーンは、こんな感じでかれこれ30分は御茶会を引っ掻き回していた。


 王族であるメイシャですら涙目になっているのである。まだ幼いといえる年齢の少女たちに太刀打ちできるはずもなく、まさにアイリーンの独壇場。最早嫌がらせしに来たのか、と言われても仕方がない状態であった。



 このまま、苦痛なだけの時間が過ぎていくのか、と悲壮感と絶望感が部屋の中に漂う中、一人だけ優雅に御茶を飲む者がいた。


 (本当に、何をしに来たのかしら?)


 自由をこよなく愛するアイリーンのこと。本当にただフラフラとやってきただけの可能性が高いが、マリアンヌは警戒してしまう。


 アイリーンは、こう見えて常識知らずの人間ではない。じっくり話してみれば分かるが(それがそもそも困難だが)、彼女の持つ価値観や倫理観念は他者とかけ離れたものではないのだ。つまり、彼女は非常識な人間ではなく、常識破りな人間なのである。


 (……逆に質が悪いけれど)


 故意に相手を困らせて、いったい彼女が何をしたいのか、マリアンヌには分からない。初めて会った時から、マリアンヌはこのアイリーンという人を掴むことができなかった。


 ふと、視線を感じて顔を上げれば、メイシャが何かを訴えるように涙を溜めた目でマリアンヌを見ている。どうやら助けを求めているようだが、マリアンヌは元々この御茶会に乗り気ではないし、今の所アイリーンの矛先も向けられていない。つまり、メイシャを助ける理由はないのだ。


 いっそ、このまま御茶会終了の時間まで暴れていてくれないだろうか、と思った時、マリアンヌは一つの違和感を覚えた。


 (なぜ、わたくしに矛先が向かないのかしら?)


 ただ単に若い彼女たちと戯れたいだけかもしれない。アイリーンのことだから、あり得ないことではない。だが、それだけだろうか。


 (この中でアイリーンの相手ができるのは、わたくしだけ。そのわたくしに話しを振らないことで、引き起こされる結果は――)


 「あ、あら大変!」


 突然、メイシャのわざとらしい声が上がる。


 「御茶がなくなってしまったようだわ。まったく、お前たち、何をやっているの!わたくしに恥をかかせるなんて!!」


 御茶はまだ沢山あるだろうに、メイシャはそう言って自身の侍女を叱咤する。彼女たちは一瞬怯んだが、中でも年長者であろう侍女がすぐに頭を下げた。


 「申し訳ございません」


 「もういいわ。皆様、御茶はここまでにして、温室でも見に行きません?暖かいし、最近チューリップが咲き始めているって聞きましたの」


 メイシャの言葉に少女たちが「まぁチューリップが?」「こんなに早く咲くんですのね」「是非見てみたいわ」などと興味を示すが、その顔には「早くこの空間から抜け出したい!!」という本音が書いてあった。提案者のメイシャ自身、この沈んだ雰囲気を打破するために言ったに違いないが、一つ大切なことを忘れている。


 (アイリーンがついて行ったら、場所が代わっただけで意味がないのに……本当に、馬鹿な子)


 アイリーンから逃げたいのなら、一度解散するしかない。一度お開きにして、しばらくしてから集まればいいのだ。メイシャがそうしなかったのは、恐らく一度解散したらマリアンヌが逃げてしまう、という懸念があったからだろう。しかし、やはりまだまだ読みが甘い。


 「――では、わたくしはここで失礼させていただくわ」


 「えぇっ!?」


 そんなのダメです、と声をあげたメイシャに、マリアンヌは平然と返した。


 「あら、どうして?」


 「だ、だって、お姉様は、わたくしの招待を正式に受けて下さったのだから、最後までお付き合いいただかないと……」


 「わたくしは、御茶会に招かれたのであって、鑑賞会に招かれた訳ではなくてよ、メイシャ。それに、最後までいる義務もないわ。最後までいてもらいたいと思うならば、もう少し持て成すとはどういうものか、勉強なさい」


 マリアンヌの冷たい言葉に、メイシャは唇を噛む。淑女としてあるまじき行為であるが、末っ子であることや可愛らしい容姿のため、皆に甘やかされて育ったメイシャはそのことすら知らないかもしれない。


 (まぁ、教えてあげるつもりは毛頭ないけれど)


 蝶よ花よと、大切に大切に育てられたメイシャと、叱責と折檻しか与えられなかったマリアンヌ。


 なぜメイシャが自分になついてくるのか、マリアンヌには分からなかった。「憧れです」と、どうして言えるのか理解できなかった。どれだけ無神経なことをこの口から聞くことになるのか、考えるだけで虫酸が走った。


 (いつか、この妹を殺してしまうかもしれない)


 そんなことを思った時


 「ん〜、じゃあ私もここで失礼するわ」


 凍った雰囲気をまるで気にしていない、アイリーンの柔かな声が響く。


 「ねぇ、メイシャ。この部屋はまだ使えるのでしょう?」


 「……はい」


 「じゃあ、このままもう少しここに居ようかしら。マリアンヌ、付き合って?」


 ここで初めて、マリアンヌにアイリーンの矛先が向いた。


 (やはりね)


 予想通りの展開に、マリアンヌは別段驚かなかった。


 「……次の予定がありますから、あまり長くは御一緒できませんけれど」


 「構わないわ!じゃあ決まりね!ほら、貴女たちも、早く行かないと温室閉まってしまうわよ?あそこ、夕方には閉じてしまうから」


 その言葉を聞き、少女たちは立ち上がり退室の挨拶をして去っていく。メイシャが恨めしそうな目でマリアンヌを見ていたが、マリアンヌはいつものように流した。





 扉が閉まった途端、アイリーンはクスクスと笑う。その隣で、マリアンヌは盛大に溜め息をついた。


 「わたくしと話したいのなら、こんな回りくどいことなどせず、最初から会いにくれば良いのではなくて?」


 そう、アイリーンはマリアンヌと話すために、御茶会に乱入・破壊を行ったのだ。ああやって暴れれば、メイシャが先のような行動に出ると予測し、その為に、アイリーンを止めることができるマリアンヌに話しを振らなかった。


 結果、メイシャの目からすると、マリアンヌが御茶会をダメにするためにわざとアイリーンを呼んだように写ったことだろう。そのような非難を込めてマリアンヌはアイリーンに言ったが


 「そんなのつまらないじゃない!」


 という嬉々としたアイリーンの言葉に一刀両断される。


 「それより、見た?メイシャの恨めしそうな顔!うふふふ、ちょっとは痛い目をみたほうが今後のためよね!あの子、世界中が自分の味方だと思っているんだもの」


 どうやらアイリーンはメイシャが嫌いらしい。マリアンヌと話しがしたいだけではなく、メイシャを虐めたかったようだ、とマリアンヌは判断する。


 「……それで、用件は?」


 アイリーンと話しをする上で重要なのは、彼女に主導権を握らせないことだ。だからマリアンヌは自分から話しを切り出したのに、アイリーンはマリアンヌの言葉を無視して、ローズマリーに妖艶な笑みを向ける。


 「貴女が、ローズマリー?」


 妙に甘ったるい声で、アイリーンが聞く。思わずマリアンヌは「わたくしのローズマリーに色目など使うな」と凄んでしまいそうになったが、当のローズマリーは


 「はい。マリアンヌ様の侍女、ローズマリーでございます」


 いつもと変わらぬ様子で返事をした。


 「貴女の淹れる御茶が、とっても美味しいって聞いたわ。淹れてくれない?」


 ローズマリーはマリアンヌに視線で「どうしましょう?」と聞く。それに対し、マリアンヌは小さく頷いて答えた。


 「畏まりました。すぐにお持ちいたします」


 礼をとって、ローズマリーが部屋を出ていく。


 小さな背が扉の向こうに消えるのを確認し、アイリーンは楽しそうにマリアンヌに聞いた。


 「あの子が、貴女の『欲しいもの』?」


 「…………よく、そんな昔の話しを覚えていますわね」


 3年前。

 マリアンヌはレオナルドを辞め、女に戻る決意をした。だが、女だと証すだけではその後生き残ることができず、すぐに潰されてしまうだろう。だがら、レオナルドが女だと感ずいたアイリーンに、協力を求めた。勿論、駄目元だった。断られたら、とりあえず殺して他の手を考えるつもりだった。しかしアイリーンは「面白そう」という理由だけで、マリアンヌに淑女としてのマナーや仕草を教えたのだった。『マリアンヌ』としてはアイリーンが育ての親も同然で、返し切れない借りができてしまっていた。



 「当たり前でしょ。そんな楽しいこと、私が忘れるとでも思っているの?」


 「……いいえ。むしろそんな事しか覚えていないように見受けられますわ」


 「でしょ?会うのを楽しみにしてたのに、貴女ったら東の塔に囲ってしまうんだもの」


 頬を膨らませるアイリーンに、マリアンヌは冷たく返す。


 「別に、囲ってなどいなくてよ。定例朝食会などで見掛けるでしょう?」


 「いつも最後に出るくせに、良くいうわ。主人が来るまで彼女たちが顔を上げないこと、知っているでしょ?」


 勿論マリアンヌは知っていた。誰にもローズマリーの顔を見せたくなくて、わざと最後に部屋を出ているのだから。まぁ、ルーファスには偶然顔を見られてしまったようで、絡まれているが。


 「何のことかしら?」


 「惚けたって無駄よ。さっきも、ちょっと私が色目使っただけで、射殺さんばかりに睨んでいたくせに。案外、余裕がないのね」


 仕方ないではないか、とマリアンヌは思う。なにせ相手が自分を女として意識しているかどうかも怪しいのである。変な虫など付けている暇はないし、将来のことを考えると他の者にローズマリーの顔を覚えられると面倒なのである。



 「大きなお世話だわ」


 「素直じゃないわね」


 「お互い様でしょう?」


 「あら、私は自分の欲望に忠実よ」


 「…………それ、自信満々に言うことではないと思うのだけれど」


 マリアンヌの苦言に、アイリーンはクスクスと笑う。その様子に溜め息をついたマリアンヌに、アイリーンは柔かな眼差しを向けた。


 「まぁ、元気そうで何よりよ。昨日スチュワート公爵と会ったって聞いたから、もっと凹んでいるものだと思ったけど」


 瞬間、マリアンヌの視線が鋭くなる。


 「……いったい、どこから情報を?」


 スチュワート公爵の来訪は、予定されていたスケジュールではなかった。それに、予定されていたとしても他の塔に住む者がそれを知る手段は限られている。

 可能性として考えられるのは、侍女の買収。しかし、ローズマリーに限ってこれはない。あとは、塔の衛兵にアイリーンの息がかかった者がいる、という可能性。


 (昨日の夜に勤務していた衛兵を全て取り替えるべきかしら?)


 「一応言っておくけど、東の塔の衛兵を買収したりはしてないわよ?」


 マリアンヌの思考を読んだかのように、アイリーンが言う。


 「仲良しの壁が教えてくれただけ」


 アイリーンがよく言うセリフだ。その意味を理解している者はいない。それはマリアンヌも同じで。


 「……貴女こそ、御父上と久し振りの再会を楽しんだのでは?」


 アイリーンの父親であるシンクレア伯爵の話題に代えようとしたのだが、アイリーンは「あら、あの人来てるの?」ときょとんとしていた。


 「……会われていないの?」


 「別に仲良くないし、話すこともないのよね。元気にしてた?」


 「ええ。新薬が出来たそうで、嬉しそうに話をされたわ。まぁ、説明はサシャという人が」

 「サシャ?」


 半ば身を乗り出すようにして、アイリーンがマリアンヌに聞く。そのいつにない食い付きに、マリアンヌは驚きつつも答えた。


 「ええ、サシャ・ファルマと名乗ったわ。新薬の開発者のようだけど、お知り合い?」


 「サシャ……そう、サシャがこの城に……」


 マリアンヌの質問には答えず、アイリーンはどこか遠くを見る目になる。その頬がほんのりと赤く染まったのを見て、マリアンヌは狼狽えてしまう。


 この、自分の好奇心を満たすことしか頭にないような女が他人のことを思い頬を染めるなど、明日は空から槍でも降ってくるかもしれない、と本気で心配してしまったマリアンヌだった。


 「サシャは、そうね……私の幼なじみみたいなものね。彼の父親が私の実家の掛かり付けのお医者様で、家の敷地内に研究室もあったわ。サシャは小さい頃から父親の手伝いで、良く研究室に来ていて、私は、良くレッスンをサボって彼を捕まえてはあっちこっちつれ回してたわね」


 アイリーンは目を細め、口許を綻ばせて語った。その様があまりにも幸せそうで、マリアンヌは思わず見とれてしまう。

 いつもの夜会でみせるような洗練された微笑みではなく、子どものような無垢な笑顔――こんな顔をすることができたのか、と感動すら覚えたマリアンヌであったが


 「サシャって蟷螂が大嫌いでね、怖がる様が面白くって、ついつい彼の靴とかポケットとか下着の中に忍ばせてたっけ……」


 いとも簡単に吹き飛んでしまった。


 「……つまり、貴女の玩具だったのね」


 「うふふ、また一緒に遊びたいわぁ」


 マリアンヌは心から彼に同情した。

 アイリーンに目をつけらるなど、不幸以外の何物でもないだろう。




 マリアンヌが呆れて口を開こうとした時、突如部屋の扉が開いた。


 ローズマリーではない。彼はこんな無作法なことはしないと瞬時に判断し、マリアンヌは殆ど反射で手元にあったティースプーンを乱入者に向かって投げつける。当たったかどうかなど確認するより先に、投げた勢いで素早く椅子から腰を上げ、戦闘体勢に入ったマリアンヌ。その視線の先には……


 「……ひょっとして、アイリーン様の……?」


 「うーん、私の近衛騎士の一人みたいね」


 騎士の紋章の入った白い騎士服を身に纏った青年が、中腰でさらに腰を捻るというなかなか見られない体勢で固まっていた。


 暫く青年が動くのを待っていたマリアンヌだったが、一向に行動に移る気配のない青年にしびれを切らして自ら問う。


 「で、要件は?」


 マリアンヌの言葉でようやくこっちの世界に戻ってきた青年は、思い出したように敬礼する。


 「失礼いたしました。マリアンヌ様もいらっしゃるとは思いもせず……。自分は、アイリーン様付き近衛騎士、グレイ・ランドと申します。アイリーン様を捕縛すべく城内を捜索していたところ、この部屋から声が聞こえてきたため、室内に踏み込んだ次第であります」


 「……捕縛……?」


 「は。面会のご予定が入っているにも関わらず、遁走されてしまいまして」


 「……アイリーン様?」


 「遁走だなんて、人聞きの悪い。ちょっと面倒だなぁって思ったからサボっただけじゃない」


 「それを世間では“遁走”といいます」


 「冗談が通じないんだから。そんなことで私の近衛騎士が勤まるとでも?」


 「この性格だからこそ、アイリーン様の近衛騎士に選ばれたのだと思いますが」


 「あら、そんなに真面目だと、早々に潰れちゃうわよ?私、周りにストレスを与えるのが得意みたいだから」


 「あまり喜ばしくない特技なので、直されたほうがよろしいかと」


 アイリーンの軽口にもただ淡々と正論を返していくグレイ・ランドという騎士に、マリアンヌは尊敬の念すら覚えはじめていた。自分ですら閉口してしまうというのに、この騎士はどれだけ器が大きいのだろうか、と。


 (でも将来禿げそうね)


 彼の生え際が心配になったマリアンヌは、アイリーンを早く追い出すことに決めた。


 「早くお帰りになったほうがよろしいのではなくて?」


 「マリアンヌまで、つれないわね」


 「民が納める税で生活している以上、最低限、王族の勤めは果たさなくてはならない、と言っているだけよ」


 はぁ、とアイリーンは大きく溜め息をつく。


 「……望んでなったわけじゃないわ……でも、仕方がないわね……あ〜あ、短い休憩だったわ」


 「普通、休憩とは10分程度ですから、十分長いと思います。では、参りましょう」




 こうして、アイリーンは西南の塔へ連行されていったのだった。








 トントン


 控えめなノックに、マリアンヌが入室の許可を与える。


 扉を開けたローズマリーは、部屋にマリアンヌしかいないのを見て首を傾げた。


 「アイリーン様は……?」


 「御迎えが来て、連行されて行ったわ」


 何となく事情を察したのだろう。ローズマリーは苦笑しながら「懲りない方ですね」ともらす。


 「本当に。側に仕える人たちが憐れだわ。……それはそうと、ずいぶん遅かったわね、ローズマリー」


 「先日美味しい茶葉を手に入れたので、折角だから御出ししようと、塔まで取りに行ってきたんです。まぁ、結局無意味になってしまいましたが」


 塔ならいつでも出せますから、とローズマリーは言いながら、マリアンヌの前に紅茶を出す。色はひどく澄んでいながら、立ち上る香りは芳醇で、マリアンヌは頬を緩める。


 「無意味ではなくってよ。この美しい部屋で、貴女と二人、美味しいお茶を飲めるなんて、ひどく贅沢な時間時間だわ」


 マリアンヌの満足そうな顔に、ローズマリーは笑顔を向ける。


 「そう言っていただけると、淹れた甲斐があります。ところで、マリアンヌ様」


 ローズマリーは扉を指差し、マリアンヌに問う。


 「あそこに刺さっているのは、何です?」


 ローズマリーの指の先、扉の取っ手の斜め上に光る、銀のティースプーン。


 「…………さぁ?」


 「では質問を変えます。マリアンヌ様が先程使っていたティースプーンは何処へ?」


 「…………」


 「マリアンヌ様?」


 「…………」


 「マ・リ・ア・ン・ヌ・様!!」




 その後、ティースプーンは投げる物ではないと延々ローズマリーからお小言をもらい、淹れた紅茶はすっかり冷めてしまった。









読んでいただき、ありがとうございました!


なんと、御気に入り登録100件突破です!!

こんなに亀更新なのに……(/_;)

ありがとうございます!

もっと早く更新できるように、頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ