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Lorelei  作者: 流羽
1 出会い
5/8

Backstage

裕聖が楽屋の扉を閉めながら大きなため息をついた。

「いや、あっけなく終わったなー。その割には疲れた…」

「……そりゃ、アヴェマリアやし。アンコールのミニステージやったし」

一呼吸遅れて鈴音がつぶやいた。

(…根暗か?)

たしかに、どんよりした顔してるし、うつろな目してるし…。根暗か。

裕聖が椅子に座り、キャラメルでも食べようかと鞄をあさっていたそのとき。

どすどすどす。

ん?あの大きな足音は…。

「鈴音、辻くん!よかったで!大反響や!がっぽり大もうけやで!」

「霧沢のお父さん!」

ああ、やっぱり。たしかに太ってるけど、あんなに大きな音が出るんだな、たかが足音で。

ぱたぱたぱた。

お?今度は軽い足音だな。スタッフか、ゆうす―。

「裕聖ーッ!」

「うぉっ」

楽屋のドアを蹴破って、いきなり裕輔が殴りこんできた。間一髪のところで避けた裕聖は目を見開いてロッカーに突っ込みかけた兄を見た。

「なんだよいきなり。僕、気に障ることした?」

「ああしたともさ!シラをきるな!」

「はあ!?分け分かんないんだけど」

「お前、霧沢さんと手をつないだだろ!」

「はあ!?何をどう見てどう考えたらそうなる!」

「シラをきるな!!」

裕輔の言い分はこうだ。

裕聖の緊張を解くのは難しい。しかし、何故すぐに緊張が解けたのか。まさか、裕輔の殺気が届いたなどバカなことはあるわけない。ではなぜか。それは、鈴音が裕輔には見えないほうの手を握ったからだ!

「どうだ!」

「どうだって、裕輔、お前…」

「なんだ」

「バカだな」

「はぁっ!?」

「…思い過ごしや」

「え?」

鈴音の静かな声に裕輔もいくらか落ち着いた。

「裕聖がすごい緊張してたから、わたしが『大丈夫?』ってゆっただけ」

「え…あ、そうですか…」

気まずいふいんき。それを打ち破ったのは、霧沢父の、この一言だった。

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