15―2:年下男子は好きですか?
連続投稿。瑞穂視点がメイン。文は短いです。
「う・・・ん?っ痛!」
目覚ましよりも早く起きた瑞穂は、二日連続でアルコールによる頭痛。だが、何となく違和感がある。
「・・・あ?」
なぜ、廉は自分の部屋で眠っているのだろう?と、ベッド下の床で寝息を漏らす廉を発見。しかし、よくよく見れば、廉のパジャマの裾を掴む自分の手・・・
「私は何をしたんだ?」
「ううん・・・おはようございます、瑞穂さん」
瑞穂の声に反応したのか、廉は目を擦りながらゆっくりと起き上がった。
「昨日酔い潰れた瑞穂さんを部屋まで運んだら、裾を掴まれてて・・・結局、ここで寝てしまったみたいですねぇ・・・」
まだ意識が覚醒しきれていないのか、廉の呂律が少しおかしい。
「すまない・・・」
「いえぇ・・・それより、手を・・・」
「・・・ヤダ・・・」
離して欲しい・・・という廉の言葉を、瑞穂は断った。
「ほれ、こっち来い!」
「ふあ?」
立ち上がった廉のパジャマの裾をグイッと引っ張る瑞穂。寝ぼけと足元が安定していなかった為か、案外簡単に廉はベッドに倒れ込んだ。
「せっかくだ、寝て行け。まだ朝には早過ぎる」
「でも・・・」
「生憎、ここは私の部屋だ。少年に拒否権は無い」
有無を言わせず、瑞穂は廉をベッドに引きずり込む。
「ほれ、眠れ・・・」
優しく言葉をかけながら、廉の頭を撫でる瑞穂。未だ覚醒せぬ意識と、女性特有の甘い香りが、廉の意識を再び夢に戻す・・・廉にとって人生初めての二度寝は、瑞穂のベッドだった。
“眠れない・・・”
傍らで眠る廉を見つめながら、瑞穂は切れ長の瞳を更に細めた。
我ながら、大胆な事をしている自覚はある。瑞穂は自分の行動に自嘲した。
瑞穂とて21、過去に彼氏もいたし、それなりの“経験”もしている。
第一年下に興味など、瑞穂には毛頭なかった。
なら何故?
そんな事など知る訳が無い。強いて言うなら、廉の持つ“何か”が、瑞穂を強く惹きつけた。それがなんであれ、瑞穂は間違いなく、廉に心を“捕われた”のだ。出会ってまだ一週間も経たないのに、お互いの事もよく知らないのに、瑞穂は惚れたのだ。友人の弟に・・・
「やれやれ、私がこんなにも悩んでいるのに」
思わず本音を漏らす。だが、廉の耳には届かない・・・。カーテンから覗く月光を受け、廉の黒髪が妖しく艶めく。そっと掬えば、瑞穂の指を擦り抜けながら、サラサラと小さな音を立てた・・・
「告白は、いつになるのかね・・・」
再び口を開いて出た言葉は、宙に浮かんで静かに消えた―――。
薄れゆく意識の中、未だ目覚めぬ廉の手を、瑞穂は力無くそっと握った。