10:ご機嫌瑞穂と寝不足廉
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一夜明け、昨日通り瑞穂を起こしに部屋の前まできた廉だが、
「・・・ふぁ・・・」
欠伸が止まらない。瑞穂に似合う“アクセサリー”を図案化する為に、浮かんだデザインを全てイラストに。その数はざっと20枚以上。だが、どれも瑞穂のイメージに合わない。結局、納得のいくデザインをイメージ出来ぬまま、朝を迎えてしまった・・・という訳だ。
「瑞穂さーん、朝で・・・」
バンッ!!
「おはよう少年!・・・あ?」
勢いよく開け放たれたドアとともに、爽やか全開の瑞穂が顔を覗かせたのだが、何故か視界に廉の姿が映っていない。ふと下を見れば、頭を押さえてうずくまる廉を発見。
「どうした!誰にやられた!?」
「・・・瑞穂さんに・・・」
開け放たれたドアは、廉の額にクリーンヒットしたらしい。見事に赤くなっていた。
「お?スマンスマン!さーて、今日の朝ごはんはなにかな〜?」
アッハハーと笑いながら、瑞穂はリビングへと降りてゆく。なんとなくテンションが高いのは気のせいだろうか?と、廉は不思議に思いながら、瑞穂の後に続いた。
本日の朝食は、カリカリに焼いたベーコンと、スクランブルエッグにコーンスープ。コーンは、わざわざ冷凍していたトウモロコシを使った、廉のお手製である。案の定、余分に焼いたトーストとコーンスープは、瑞穂のお代わりで瞬く間に消えてしまった。
既に制服に着替えた廉は、着替えに戻った瑞穂を待つ間に食器を洗い、歯を磨く。
「ふぃ〜、相変わらず少年の飯は美味いな!ん?目の下にクマが出来てるぞ、寝てないのか?」
「デザインを考えてたら、朝になってました」
「おいおい、あまり根をつめるなよ!私の為に頑張ってくれるのは嬉しいが、無理はするな。私だって、気長に待つさ」
ズレたメガネをクイッと上げ、瑞穂は廉に優しく諭す。
「さてさて、少年よ。今日学校が終わるのは何時頃かな?」
「今日ですか?今日は・・・学祭の出し物を決めるから少し遅くなると思いますけど」
瑞穂に返事を返す廉は、先程から瑞穂のテンションが高い事が気にかかる。
「瑞穂さん、テンションが高いですね。何かいい事でもあるんですか?」
「わかるかね!?今日は嬉しい給料日〜!!」
成る程、どうりで瑞穂のテンションが高いはずだ。
「少年、終わったら電話してくれ!」
「え、また学校に来るんですか?」
「悪いかね?」
悪いという訳じゃない。ただ、“アレ”に乗って来るという事は、嫌でも注目を集めるだろうと、廉は直感していた。
「いやあわざわざ迎えに来なくていいですよ。バスで来ます!」
「バス代が勿体ない!」
「注目を浴びるくらいなら、むしろ安いです」
「むぅ・・・」
廉に説得され、渋々納得した瑞穂。気付けばもう、家を出る時間だ。
“送ろうか?”と言う瑞穂をやんわりと断り、廉は学校、瑞穂は職場へと向かうのだった。