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なぜか棍棒が好きな武器屋の物語

掲載日:2026/05/21

「いらっしゃい、お客さん何にしましょう?」



 武器屋の店主であるラズウェルが言った。そんなに店は大きくないが、武器の種類は多い店なんだ。



 「そうだな、何かおすすめはあるかい?」



 店主がここぞとばかりに、ニヤリと笑った。



「この棍棒なんかはどうですかい?このグリップがいいんですよ、今の時代機械で作るのが主流なんですが、職人が全部手作りで、1点物なんですよ。この金でコーディングされた棍棒や銀でコーディングされた棍棒もあるよ。オーダーメイドもやってますよ。どうですか?」



 客は店主の棍棒愛に圧倒された。この武器屋は異常なほどの棍棒愛に溢れた店主がいる武器屋だった。



 「いや、棍棒はいらないかな、カッコイイ剣が欲しいな」



 「うっそうかぁ、それは残念だ。」ラズウェルは肩を落として言った。



 「それではこの鋼でできた剣はどうです?」



 「うーんじゃあこの剣もらおうか」



 「毎度あり」



 客はそそくさと帰っていったので、ラズウェルはため息をついた。



 「また棍棒売れなかったな、売れるのは剣とか違う武器ばかりだ。何でこう人気がないのか。棍棒はこんなに使いやすくて、頑丈で、カッコイイのに。この良さが理解出来ないのかなぁ」



 これがいつもの日常だった。



 晴れた日に、客が武器屋に入って来た。



「いらっしゃい、何にしましょう?いい棍棒ありますよ?」



「いや棍棒は、剣はある?」



 「はぁありますよ」



 いつも通りお客が来た時に棍棒勧めてみたが、やっぱり断られた。


 その時、外から悲鳴が聞こえた。



 「キャー、魔物が出たー、逃げろー」



 「魔物が出たのか」



 ラズウェルは店から棍棒を取り出し外に出た。



 「行くぞ、オリャー」



 気合を入れてラズウェルが棍棒で攻撃すると、魔物を店主が一撃で倒した。


 ラズウェルは伝説の勇者のパーティで戦士をしていたのだった。



 その様子を見て客がびっくして逃げ出した。



「あーお客さんがいなくなってしまった。いつになったら棍棒で店が大きくできるんだろうか」



 店に少年が入って来た。子供は何も買わずに興味本位で入ってくる事も多い。



 「いらっしゃい、何だ子供か、ここは子供が来る所じゃないぞ」



 「見るだけでもいいじゃん。 わぁ武器がいっぱいある。こんなにいっぱい棍棒もある」



 と少年が言った。



 「何、小僧は棍棒が好きなのか?」



 「うん好きだよ。最近物騒だから、棍棒が欲しいんだけどお金がないんだ。だから見てるだけだけど」



 「そうか棍棒が好きなのか。そうか。どの棍棒が好きなんだい?」



 「全部好き。本当はオーダーメイドで作ってもらいたいんだけど、子供だしまだ力がないからこの一番小さい棍棒かな。僕は棍棒使いの戦士になるのが夢なんだ」



 「そうなのか。夢が叶うといいな。だったら努力する事を忘れるなよ」


 「うん」



 ラズウェルは少し考えながら言った。



 「そうだなじゃあこの一番小さな棍棒をプレゼントしてあげよう、また大きくなったら棍棒を買ってくれよな」



 「えっ本当にいいの?」


 「ああいいよ」



 「ありがとう。また来るね」



 少年は貰った棍棒を持って、テンションが高くなって帰って行った。


 

  「金目の物を出せー」



 外からどなる声が聞こえた。どうやら最近よく出ていると噂の山賊が現れたようだ。ラズウェルが棍棒を持ち出した。



 山賊が老婆を人質にした。



 「動くな、お前ら金持ってこい」山賊が言った。



 「お前ら卑怯だな」



 ラズウェルが怒りながら叫んだ。その後山賊に向かって走り出し、一瞬で倒した。



 「ありがとうね。助かったよ」



 老婆が言った。



 「あのねぇ自分でも戦えたでしょ。あんたは伝説の魔法使いなんだから」


 「まあいいじゃないか。もう年だから魔法使ったら疲れるんだよ」



 「まだまだ元気だろ、知ってるぞ。こっそり裏山で魔法を使ってる事を」


 「バレたか。ラズウェルあんたも動きが落ちちゃいないね。あんたが戦士として、一緒にパーティを組んでた時が懐かしいよ」



 ラズウェルと老婆は昔パーティを組んでた伝説の魔法使いと戦士だった。


 山賊に向かって言った。


「もう来るなよ」


 「お頭が黙ってないぞ、伝説の賢者マサド様なんだぞ。逃げるぞ」


 山賊が捨てセリフを言って逃げて行った。


「そのの名前を聞くとは、まさかな」


 





 数日後、賢者が敵討ちに来た。


 「俺の子分をやってくれたな。出てこい」


 ついにこの時が来たかと思いながらも、ため息をついたラズウェルは、棍棒を持って外に出た。町人も数人が出てきた。あの棍棒を買った少年も出てきている。



「やっぱりか、久しぶりだなマサド」


 かつての仲間と敵として再会するとは、なんて複雑な感情なんだ。


 「おっお前はラズウェル?ラズウェルなんだな」



 「ああそうだ」


 「久しぶりだな、20年ぐらい会ってなかったな。ラズウェルよ、俺と一緒に山賊をやろう。稼げるぞ。子分を倒した事を見逃がしてやるから。どうだ?」



 「相変わらず、その上から目線の言い方変わってないな。答えはこうだ」


 ラズウェルは賢者に向かって棍棒を振り上げた。



「そうくると思ったよ」


 「行くぞ、マサド」



 マサドはラズウェルの一撃を避け魔法で攻撃してきた。しばらく魔法と打撃の攻防があり、次の瞬間、マサドの攻撃がラズウェルに当たった。



 「うっ左手をやられたか」


 ラズウェルは左手にケガを負った。


「くそっ」




 絶体絶命のその時に棍棒を好きな少年がマサドを後ろから棍棒で叩いた。


 「痛っ何だお前は」



 マサドは不意をつかれ、態勢を崩した。その時、ラズウェルの棍棒がマサドの体にヒットした。



 マサドは立てなくなった体を子分に運ばれた。



 「くそっ、逃げるぞ」



 マサドは町から去って行った。 棍棒好きな少年とラズウェルはマサドを倒した。


「逃げて行ったか。まあ追いかけないでもいいだろう。また来たらその時は返り討ちにするだけだ」



 その時老婆がやって来た。



 「ご苦労だったね。腕をケガしたのか。見せてみな」


 ラズウェルの腕を回復魔法で治したのであった。



 「これでよし」と老婆が言った。


 「ありがとな」


 「少年もよくやったな、お前も立派な戦士だ」


 「うん」

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