洗脳された男
洗脳されました。
人間が、全部〇〇に見えます。
僕は眼球を蜻蛉のようにぐるぐると回しながら、東京のど真ん中で、佇んでいました。
〇〇が好奇の目で私を見ます。
動画を撮っているのもいます。
〇〇のクセに、何故こんなにも知能があるのか。
そこについてはあまり触れないことにします。
どちらかと言うと、〇〇に対する嗜虐心の高まりの方が、今の私の思考の大半を占めていました。
私は昔から、〇〇を殺すのが好きでした。
はらわたから黄色い臓物のようなものがぢゅるりと出ていて、情けなく屍になって火に焼けて、やがてアルファルトと同化していくその姿を見るのがもう。
もう。
もう。
興奮します。
興奮して、失禁しそうになりました。
東京の〇〇は、きぃきぃと何か鳴いていて、とても五月蝿い。
大量の〇〇が蠢いていて、すごく気持ち悪いので、すぐにでも気持ち良い光景にしたい。
8月の東京のアスファルトは、とても熱を帯びていて、これに身体を擦り付けてあげようものなら、いったいどれだけすぐに干涸びてしまって、生まれる前の場所に還っていくのかと、想像するだけで興奮して、今すぐにでもこの手で全員、楽にしてあげたくなります。
「すみません、ちょっとよろしいですか」
警官服を着た〇〇が来ました。
何か喋っているようですが、しかし何にも言語は分かりません。
なんせ〇〇なのですから。
人間の私と、会話が成り立つ訳はありません。
「少しだけお話できますか?大丈夫ですか?」
あー、気持ち悪い。
キモい顔を近づけるな。
殺す。
絶対殺す。
幼少期の、あの快感を思い出していました。
まずは羽を毟り取ります。
次に、頭を抉ります。
次に、足を千切ります。
そうすると、意味をなさない物体になって、
私はそれがおかしくて、
おかしくてたまらなくてーーー
あはは…
高笑いしながら、町中を子どもの私が、遊び回っていました。
それはとっても楽しくて、
全てが無くなるまで、終わりませんでした。
全て終わった後、私は這いつくばって、血だらけのアスファルトを舐めました。
熱くて、舌が焼けるような感覚が、
私の生きる理由になるくらいに、最高でした。




