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洗脳された男

作者: 森 go太
掲載日:2025/12/31

 洗脳されました。

 人間が、全部〇〇に見えます。

 僕は眼球を蜻蛉のようにぐるぐると回しながら、東京のど真ん中で、佇んでいました。

 〇〇が好奇の目で私を見ます。

 動画を撮っているのもいます。

 〇〇のクセに、何故こんなにも知能があるのか。

 そこについてはあまり触れないことにします。

 どちらかと言うと、〇〇に対する嗜虐心の高まりの方が、今の私の思考の大半を占めていました。

 私は昔から、〇〇を殺すのが好きでした。

 はらわたから黄色い臓物のようなものがぢゅるりと出ていて、情けなく屍になって火に焼けて、やがてアルファルトと同化していくその姿を見るのがもう。

 もう。

 もう。

 興奮します。

 興奮して、失禁しそうになりました。

 東京の〇〇は、きぃきぃと何か鳴いていて、とても五月蝿い。

 大量の〇〇が蠢いていて、すごく気持ち悪いので、すぐにでも気持ち良い光景にしたい。

 8月の東京のアスファルトは、とても熱を帯びていて、これに身体を擦り付けてあげようものなら、いったいどれだけすぐに干涸びてしまって、生まれる前の場所に還っていくのかと、想像するだけで興奮して、今すぐにでもこの手で全員、楽にしてあげたくなります。


 「すみません、ちょっとよろしいですか」

 警官服を着た〇〇が来ました。

 何か喋っているようですが、しかし何にも言語は分かりません。

 なんせ〇〇なのですから。

 人間の私と、会話が成り立つ訳はありません。


 「少しだけお話できますか?大丈夫ですか?」

 あー、気持ち悪い。

 キモい顔を近づけるな。

 殺す。

 絶対殺す。


 幼少期の、あの快感を思い出していました。

 まずは羽を毟り取ります。

 次に、頭を抉ります。

 次に、足を千切ります。

 そうすると、意味をなさない物体になって、

 私はそれがおかしくて、

 おかしくてたまらなくてーーー


 あはは…

 高笑いしながら、町中を子どもの私が、遊び回っていました。

 それはとっても楽しくて、

 全てが無くなるまで、終わりませんでした。


 全て終わった後、私は這いつくばって、血だらけのアスファルトを舐めました。

 熱くて、舌が焼けるような感覚が、

 私の生きる理由になるくらいに、最高でした。

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