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『ドラゴンテイマー』 ~追放された不遇職持ちである僕は、婚約者だった公爵令嬢と共に、何とか生き抜いていく~  作者: 保志真佐


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23黒竜の子供




 レーナと肌を重ねた昨晩の翌日。


 「「………」」


 僕とレーナは服を着直して、焚き火の前に座り込み、無言を貫いていた。


 パチパチ…。

 焚き火から飛び出る火の粉が弾ける音が聞こえるだけ。


 僕とレーナは密着するほど隣同士で座っているが、レーナは僕の腕を取って、抱きしめていた。


 横目で見ると、レーナは頬を薄く染め、惚けた顔をしていた。

 満ち足りていると言う顔だ。


 かく言う、僕も他人から見たら、幸せいっぱいの表情をしているのだろう。


 だって、仕様が無いだろう。

 昨晩は、お互い体を一つにして、結ばれたのだから。


 あれほど、気持ちの良いものは無かった。

 出来れば、またしたい……のだけど、今はレーナの体調が優れていない。


 幸せそうな顔をしているが、レーナは昨晩の行為で、身体に少し不調をきたしている。

 曰く、下腹部に強い違和感があるようだ。


 まぁ…あんなに、したからね。


 なので、今日は一日中、休憩を取ろうと考えている。


 体を一つにした時に感じる瞬間は、今までの人生で最も幸福を感じた瞬間だったと思う。

 時折、お互いの顔を見つめ合っては、キスをしている。


 そんな幸せのひと時のことであった。


 パキ…。


 その時、軽い音が聞こえる。

 まるで、何かが割れた音。


 音が小さくて、危機間違えかと思ってしまう。


 パキ…パキ…。


 またしても、聞こえる音。

 でも、周囲を見渡しても、何かが壊れた様子はない。


 何処聞こえるのだろうか。


 パキ…パキ…パキ…。


 また、聞こえた。

 今度は、はっきりと。


 これは、もう聞き間違えではない。

 明確に音が聞こえる。


 僕は、もう一度周囲を見渡す。


 これと言っても、変わった様子は………、


 「ん?レーナ?」


 横にいるレーナが、目を大きく見開いて、焚火の先を見ていた。


 「リック。あれを」


 レーナが前を指差す。

 僕も釣られて、向く。


 指差す方向には、焚火。


 さらに、その先には…………大きな卵。

 黒竜から託された卵があった。


 結局、昨日は孵らなかったけど。


 それが今。

 パキ…パキ…パキ…パキ…パキ…。


 卵の表面に、ヒビが入り、割れようとしていた。


 「産まれる?!」


 僕が叫んだ瞬間だった。


 パカッ!!

 卵が左右に割れた。


 その割れた卵から出てきたのは、


 「ギュアアアア!!」


 洞窟内に、高い声が響き渡る。


 それは黒い鱗を持った小さな竜だった。

 漆黒の鱗を持った僕の体と同じ大きさ程のドラゴンが卵から雄たけびを上げて出てきた。


 形状は、昨日会った黒竜に瓜二つ。

 どうやら、本当に黒竜の子供らしい。


 僕とレーナも、暫く身動きが取れなかった。


 黒竜の卵が孵ると言う非日常の光景を見ると、人は固まるらしい。

 レーナは半魔人だけど。


 卵から孵った黒竜の子供は、大きな声を出していた。


 「キュウ!」


 だが、叫んだ後、何を考えたのか周囲を見渡す。


 そして、僕と黒竜の子供の目が合う。

 黒竜の子供の眼光が、僕とレーナをしっかりと捉える。


 黒竜の子供からの視線には、敵意が無い。

 純粋な眼をしていた。


 何故だか、それが僕には分かった。

 理屈ではない、感覚で。


 両者見つめ合っていたが、先に動き出したのは、黒竜の子供。


 「….……キュウ」


 黒竜が、ゆっくりと…しかし、着実に僕達の元に向かう。

 産まれたてなのに、中々速い動き。


 向かう先は僕達ではなく、僕だ。


 「リック!」


 レーナが急いで、僕の前に出る。

 恐らく、黒竜の子供から僕を守るためだろう。


 だけど、それを僕は押しのけて、レーナの前に出る。


 「リ、リック?!」


 戸惑うレーナだが、僕は大丈夫だよ…と、一言だけ言って、前を向く。


 黒竜の子供は、すぐ目の前まで来ていた。


 まっすぐ僕に向かっていく黒竜の子供は、僕へ飛び込み、


 「キュルルルルル!!」


 僕に抱き着き、甘えてくる。

 それは、さながら親に甘える子供みたいだった。


 暫く、僕の体に抱きついていた黒竜の子供は、潤った目で僕を見て、


 『パパ!!』


 そう言ってくる。




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