13黒竜
「これは………一体どういう事でしょう」
トントン拍子で流れていく事態に、レーナは飲み込めなかった。
かく言う、僕もだ。
僕達を追っていたアースドラゴンの足元から巨大な炎が上に向かって吹かれたことで、アースドラゴンは焼き尽くされて死んだ。
これ自体は喜ぶべきことだけど、問題は…あの炎の正体だ。
仮に、あの炎が別の魔物の仕業であった場合、その魔物はアースドラゴンよりも遥かに強い魔物になる。
最強種であるドラゴンよりも。
「レーナ……一旦、僕達は引くよ」
「そうですね」
何はともあれ、ここから離れるのが最適だろう。
僕は立ち上がる。
しかし、
「わっ?!」
「え?!」
体が下に落ちる感覚がする。
僕とレーナは一気に地面の下に落ちたのだ。
さっきアースドラゴンが地面に亀裂を入れたせいで、地盤が脆くなったの原因。
二人して落ちる。
大きな音を立てて、地面の下の空洞に落とされた。
何と地面のすぐ下は空洞があったのだ。
尻もちを付きつつも、僕は起き上がり、周囲を見る。
だけど、空洞は日の光が差していなく、とても暗い。
上を見れば、僕達が落ちた地面の亀裂は、少し上にあり、ここから這い上がって、元の地面に行くのは難しそうだ。
そうやって、僕が頭を悩ましていると、
『~~~~~~~~~~』
僕の耳に、低い声のようなものが入る。
まただ。
直近では、アースドラゴンと対面した時も、この声みたいなものを聞いた。
レーナには聞こえていないみたいだが、僕には聞こえるのだ。
『~~~~~~~~~~』
再び、聞こえる声。
だけど、意味は分からない。
『~~~~~~~いや、こっちか』
「ん?」
僕は首を傾げる。
意味不明と思われていた声がいきなり理解できる言葉に聞こえたからだ。
『人間の言葉を話すのは久しぶりだな。そこの人間』
今度は、はっきり聞こえた。
これは間違いなく人の言葉だ。
「え?!人の言葉?!」
「どうしました、リック?」
「人の声がする。今度は、はっかりと!」
「人の声?」
やはり、レーナには聞こえていないようだ。
「誰かいるんですか!」
僕は暗い空洞内へ大声を出して叫ぶ。
空洞で僕の声が反響する。
少しして、
『ふむ…いる。お主らの、すぐ目の前だ』
「え?目の前?」
『なるほど、暗くて見えんのか。待っても、明かりを付ける』
ボッ。
火が灯される。
突如、発生した火は、空洞内を淡く照らす。
それにより、空洞内の状況が視界に晒される。
空洞の中は、かなり大きな空間だった。
家が入れるとかでは無く、僕が今まで住んでいたアーカイブ領辺境伯家の屋敷数個分だ。
こんな大きな空間が、地面の下にあったなんて。
僕は驚いた表情のまま固まる。
見てはいけない物を見てしまったからだ。
「あ、あれは?!」
レーナは大きな警戒心を見せる。
僕だって息を飲む。
そこには、途轍もない存在がいた。
アースドラゴン何て、問題にならないぐらいの巨体。
僕とレーナを金縛りにさせるほどの鋭い眼光。
灯された火によって、黒光りする漆黒の鱗。
それは黒い竜だった。
黒竜が空洞の真ん中で居座っていた。




