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世界を救う勇者なんですが役立たずを追放したら破滅するから全力で回避します。  作者: 大鳳
第二部 超越者打倒編

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横穴

「おらあっ!」

 ゴブリンの洞窟の奥に入ったヴィルは気になる横路を片っ端から調べていく。

「ギャアーッ!」

 その都度見つけたゴブリンを逐一始末もしていく。アリーナが襲われた事はヴィルに負い目を与えていた。

 ゴブリン退治と油断した覚えは無い。しかし、冒険者達が罠に掛かった事をもう少し深刻に捉えていれば……。

(くそっ……!)

 アリーナが襲われずに……仮に襲われたにしても迅速に対処出来たかもしれない。

 避けられたかもしれない罠に自身の思慮の浅さを痛感せざるを得なかった。

 だが、今はそれより何よりアリーナを一刻も早く救い出したかった。その為にはこのゴブリンの洞窟を虱潰しに捜索する事も辞さない思いだった。

(くそっ……この辺りにあっても良さそうなモンだが……)

 ヴィルがゴブリンを駆除しながら懸命に通路の反対側を探している頃、問題の横穴の中では

「アリーナさん、このロープ脇に通せませんか?」

「だ、駄目です。手が動かせなくて……」

 アリーナの元に辿り着いたパルミラが彼女を救助する為に試行錯誤していた。

 ロープを脇に通せれば後は引っ張るだけで何とか助けられそうだが……余りの狭さでそれすら出来そうになかった。

「キャキャキャッ!」

「ケッケッケッ!」


ーズズズズズ……ー


 その間もアリーナはゴブリン達の手によって狭い通路の奥へと引きずり込まれていく。

 もう天井と顔の隙間すら無くなり始める程の狭さだった。

(ヴィルさん……助けて……! ママ……パパ……!)

 絶望したアリーナの脳裏に浮かんだのはヴィルの顔と……朧げに浮かぶ両親の姿だった。その時


ーパアアァァー


 アリーナが身に付けているペンダントが眩い光を放ち始めた。

「ギャアッ!」

「ギェーッ!」

 あまりの眩しさにアリーナを引きずっていたゴブリン達がたまらず横穴から這い出してきた。そこへ

「なんだ……?」

 そこは何の変哲もない洞窟の通路だった。目印も何も無い壁の窪みから数匹のゴブリンが這い出してきたところにヴィルが出くわしたのだった。

「何か光った気がしたが……まさか、コイツラが……!」


ーズバババッ!ー


「ギャアーッ!」

「グエーッ!」

「ウギャアッ!」

 ヴィルはゴブリンを簡単に始末すると、ゴブリンが這い出してきた横穴の奥を松明て照らす。

「アリーナ!」

 横穴の入り口からそう遠くない場所にアリーナの姿が見えた。

「今、助けるぞ! 待ってろ!」


ーガシャガシャン!ー


 辺りを確認したヴィルは鎧を脱ぎ捨てると横穴に迷いなく身体を押し込み始める。

「おい! こっちはどうすりゃ良い?」

 足元から聞こえてきたヴィルの声にアリーナは心底安堵していた。

 一方、アリーナの救助を試みていたパルミラは

「アリーナさんの足を押して貰えますか! こちらからも何とか引っ張りますから!」

 来た道を戻す方法を提案する。確かにここまで通って来られたのだから戻す方が無難だ。しかし……

「こっちはこれ以上身体が入らねぇ! 押せてもちょっとだけだ!」

 ゴブリンが数匹入れたとは言え、ヴィルの身体に横穴は狭過ぎた。しかも、今のアリーナは仰向けで両手足が殆ど使えない。

 この状況ではアリーナの肩をパルミラが摑んで握力一つで横穴から引っ張り出さなければならない。

「ヴィルさん! そちらからアリーナさん引っ張って貰えますか? 多分、その方が良いです!」

 少し思案したパルミラはゴブリン達がやっていた様にアリーナを反対側の出口に押し出す事を決めた。

 腕力のあるヴィルが引くほうが自分が引くより確実だからだ。

「よし、それじゃ早速……」


ーズズズズズ……ー


 ヴィルがアリーナの足を引っ張り始めると、彼女の身体が出口に向かって動き始めた。だが……

「痛っ! 痛い! む、胸が苦し……!」

 ほんの少し動いたところでアリーナが痛がり始めた。それと同時に何かに引っ掛かった様に彼女の身体も止まってしまった。

「だ、大丈夫か!」

 咄嗟に手を離してヴィルがアリーナに尋ねるが

「は、はい……でも、苦しくて……痛いです」

 辛そうな返事が返ってきた。何が起きたのか分からないヴィルは一度穴から這い出して松明で照らして確認する事にした。

 その時、アリーナは横穴のボトルネックな部分に腰と胸でガッチリ引っ掛かってしまっていたのだった。

「くぅ……はぁ……はぁ……」

 通路の狭さに胸が圧迫されているアリーナが死を覚悟したその時

「クェ〜……」

 どこからかペン太の声が聴こえてきた。地面を掘ったりがお手の物なペン太は正に救世主だった。

「ぺ、ペン太さん……居るんですか? 助けて……穴を広げて……下さい」

 アリーナが懇願する様にペン太に頼むと

「クェッ!」

 返事と共にアリーナが感じていた胸の圧迫が無くなり始めた。なんとなく背中側がゆっくりと沈んでいく感じがした。

 これなら先に進めるとアリーナが足元に視線を移すと……

「あ……!」

 松明を手にこちらを見るヴィルと目が合ってしまった。

「み、見ないで! 見ないで下さい!」

 足側からアリーナを見るヴィルからはスカートの中が丸見えなハズだ。

 これまでは命の危機が隣にあったから気にしていなかったが、余裕が出来てしまったアリーナには耐えられなかった。

 何とか手が届く両手を使ってスカートを抑えながら、アリーナは足を内股気味にして中を隠そうとする。

「わ、悪い……後は引っ張れば良いんだろ? 見ないから……少し我慢してくれ」

 松明を慌てて手放したヴィルは改めて手探りでアリーナの足を引っ張り始め


ーズズズズズー


 こうしてアリーナは横穴から無事に引っ張り出されたのだった。

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