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世界を救う勇者なんですが役立たずを追放したら破滅するから全力で回避します。  作者: 大鳳
第二部 超越者打倒編

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救助要請

「お願いします! 皆を助けて下さい!」

 少女は慌てた様にアリーナに縋り付いて懇願を始めた。

「あ、あの……落ち着いて……。詳しいお話を聞かせて下さい」

 アリーナも少し動揺しつつ少女を諭している。その間、周囲の安全確認を手分けして行っていたヴィルとクレアは、さっきのゴブリンらしきモノの足跡を見つけていた。

「少年、これ……どう思う?」

「あ〜、見たトコ森の奥から来てるッスね。大方、ゴブリンの根城からの追っ手ってトコでしょうね」

 ヴィルが舎弟みたいな口調になっているのは年上のクレアを立てての話ではある。もっとも精神年齢では同年代ではあるのだが……。

「皆さん、お願いです! どうか仲間の皆を助けて下さい!」

 傷が治療された行き倒れていた少女は改めてヴィル達に向けて懇願してきた。

「まぁ、断わる理由も無いッスよね?」

 ヴィルは相変わらずの舎弟モードのまま、隣のクレアの反応を伺う。

「そうだな。聖職者たる者、救いを求める者には手を差し伸べてやらねばな」

 こうしてヴィル達一行は少女案内の元、件のゴブリンの洞窟に向かう事となるのであった。



「で、ゴブリンは何匹位の前提だったんだ?」

 洞窟に向かいながらヴィルが敵について詳しく尋ねていると

「多くても二十だろうと言われていました。洞窟に入ってから五匹は皆で倒したんですが……」

 少女の話によると、彼等は近くの村に立ち寄った際、たまたまそこの村人達にゴブリン退治を依頼されたらしい。

 村からは女の子も攫われていたらしく、猶予は無いと皆でゴブリン退治に赴いたのだという。

「それが、ゴブリン達は想像以上に沢山いて……皆で引き返そうとするとしたんですが……」

 神官の少女がゴブリンに捕まったのを皮切りに、パーティーが崩壊してしまったらしい。

 そんな状況から少女は必死に逃げ出し、助けを呼びに洞窟から抜け出したところで追っ手のゴブリンに襲われたとの事だった。

「なら、尚更急がないと……他の皆さんが心配です」

 アリーナが思い詰めた顔で呟く。ゴブリンか女の子を襲う理由など一つしか無い。

「そうだな。だが、ミイラ取りがミイラになる訳にもいかないからな。気を付けて行こう」

 ヴィルがアリーナに声を掛けたところで目の前にゴブリンの洞窟が表れた。

「入り口に仕掛けは無い様だが……皆、松明は持ったか?」

 洞窟の入口を簡単に見回しながらクレアが松明に火を付け始めた。

「俺は大丈夫だ。えーと……」

 同じ様に松明の準備を終えたヴィルが行き倒れていた少女に声を掛けようとするが

「すまない。俺の名前はヴィル。名前、教えて貰って良いか?」

 人命救助第一で来たせいかお互い自己紹介をすっかり忘れていた。そんなヴィルに少女は

「す、すみません! 私はスカウトのパルミラと言います!」

 自己紹介と共に慌てて頭を下げた。そこで改めてヴィル達もパルミラに自己紹介を返したのだった。



「思ったより足場が悪いな」

 松明を手に先頭を歩くヴィルはこの洞窟の足場の悪さに難儀していた。

 灯りも乏しく、足場には大小の石が転がっているこんな場所では慣れない者には負担が大きかったはずだ。

 パルミラの話によると冒険者パーティーは初心者問いう訳では無く、ゴブリンやコボルト等は難なく退治出来る実力があったそうだ。

「でも……暗闇から見た事の無い大きなゴブリンが現れて……」

 まず、前衛の戦士が釘付けにされてしまったらしい。一進一退の攻防が続く中、後方の神官がゴブリンに襲われてしまった。

「……迂回路でもありそうだな」

 パルミラの話を聞いていたヴィルが呟く。やはり暗所は見落としが怖い。それでなくともゴブリンの洞窟などはアウェーでしか無いのだ。その時、「岩陰に誰か倒れてるぞ! アリーナ、来てくれ!」

「アッシュ! アッシュ、しっかり!」

 先頭を歩いていたヴィルが見つけたのは件の冒険者の戦士だった。同時にパルミラも一目散に彼に駆け寄る。

「こいつが罠かもしれねぇ、注意してくれ」

 辺りを警戒しながら待つヴィルの元にアリーナが駆け寄って直ぐに神聖魔法の詠唱に入る。

 アッシュの安否を確認しながら斥候のパルミラが罠の有無を確認するが

「何も異常はありません。それにしても他の皆は……?」

 戦士である彼が倒されていたのでは、パーティーは崩壊したのだろうとしか考えられない。

「確かパーティーは五人だったよな? 戦士以外は全員女の子……」

 そこまで言ってヴィルが言葉を飲み込んだその時

「グオオオオッー!」

 まるでオーガかと聞き違える程の雄叫びが洞窟の奥から響いてきた。


ードスドスドスドス!ー


 明らかに重量級の足音が向かってくるのが聞こえていた。洞窟の直ぐ先は広間の様に空間が広がっており、戦うにはそこが有利に思える。

「俺が敵を抑える。打ち漏らしが出たら頼む」

 ヴィルは背中の長剣に手を伸ばすと敵の声がする洞窟の広間に注意を向けるのだった。

「ギャーギャー!」

「ウキャキャキャ!」

「ゲッヘッヘ!」

 敵は太い声だけでは無く、多数のゴブリン達の笑い声も混じっている。かなりの数がこちらに向かってきているのは間違いなかった。

「ウィンドストーム!」

 ヴィルは先制攻撃として暗闇の向こうに向けて長剣から竜巻を放った。


ーゴオオオオッ!ー


 空気の渦は地面の小石も巻き上げながら通路の奥へと進んでいき

「ギャアーッ!」

「ギャフっ!」

「グエッ!」

 少なくない数のゴブリンの悲鳴と吹き飛ばされていく音が返ってきた。

「はあああっ!」


ーズバッ!ー


「ギャフッ!」

 竜巻の後を追い掛ける様にして広間の先に進んだヴィルは広間に侵入してきたゴブリンを逐一片付け始めるのだった。

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