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世界を救う勇者なんですが役立たずを追放したら破滅するから全力で回避します。  作者: 大鳳
第二部 超越者打倒編

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女神のお告げ

 冒険者ギルドを飛び出したアリーナは王都の大通りを沢山の人々の中を当て所なく彷徨っていた。

(私、ヴィルさんに大きな声出しちゃって……謝らなくちゃ……)

 ここ数日、アリーナにとっては心が落ち着かない日々が続いていた。

 別れてしまった勇者パーティーの他のメンバー達……エルフィルやミリジア、ミノさんが心配なのは分かっている。

 しかし、思い出すのはヴィルの彼女達に対する接し方と自分に対する接し方の明確な違いだった。

(やっぱり私じゃ、子供扱いされてるのかな……?)

 どことなく余所余所しい様な、気を使われている様な、言葉では説明出来ないヴィルから一線を引かれている壁の様なモノは感じていた。

 考え事をしているアリーナがふと気が付くとそこは街の教会の正面入口だった。

「女神様……私を救って下さるでしょうか……」

 アリーナに何かに誘われる様に教会へと入っていくのだった。



 教会の中では街の人々が自身の罪を告白したり、女神様に教えを乞いたり、司祭様に治療を依頼したりする街の人で賑わっていた。

 アリーナは祭壇の前で女神に祈りを捧げる順番待ちをしている人の列に並ぶのだった。

「あの、ここはいつもこんなに沢山の人達がいらっしゃるんですか?」

 アリーナはあまりの人の多さに、自分の前に並ぶ老婆に声を掛ける。

「おや、見ない顔だねぇ。今日は女神様がよくお話を聞いて下さる当たり日なんだよ」

 老婆は腰をさすりながらアリーナに答える。彼女が言うには今日は何十年かに一度の女神が信徒の声に耳を傾け、慈愛や癒しを与えて下さる特別な日なのだそうだ。

 これは、異世界の住民である彼等は知る由もない話だが女神レアが気まぐれでランダムに歴史の一時をピックアップして、神力での治療や施しを与えていたのだ。

 こればかりは完全に気まぐれであり、法則性は全く無い。宝くじ以上にランダムである。

 これもある意味、神への信仰心を絶やさせない姑息なやり方の一環なのだろう。

「あらあら、あたしの番になっちゃったねぇ。それじゃね、お嬢さん」

 そう話すと老婆は杖をつきながら覚束ない足取りで礼拝堂の祭壇前に歩いていく。

「ああ、女神様。この老いぼれに……」


ーパアアァァ!ー


 老婆が祈りの言葉と願いを口にすると天から光の柱が現れ老婆の全身を包み始めた。

「これって……!」

 この光景はヴィルが女神に祈りを捧げている時に例外なくよく見ているものだ。

 数十年に一度の奇跡を何度もポンポン起こせるヴィルは、やはり天に愛されている勇者と言う事なのだろう。

 そんな彼に苛立ちを感じている自分はやはり間違い、悪魔に魂を奪われかけているのでは……アリーナがそんな不安な気持ちを抱いていると

「いや〜、さすが神様だねぇ、身体の不調が消えちゃったよ〜!」

 祭壇から戻ってきた老婆は杖を肩に担いで軽い足取りで戻ってきて、アリーナに話しかけるとそのまま颯爽と教会から出て行ってしまった。

(凄い……!)

 自分が使う神聖魔法以上の回復ぶりにアリーナも驚きが隠せない。

 普通は神官が女神に祈りを捧げたとしても、実力に応じた力位しか返ってくる事は無いのだから。

 自分の番が回ってきたアリーナは祭壇前まで進むと両膝を付いて両手を正面に組み静かに祈り始める。

(慈愛の女神様……)


ーパアアァァ!ー


(あら、敬虔な聖女ちゃんじゃな〜い。この前は魔王討伐お疲れ様〜♪)

 アリーナがお決まりの祈りの文言を頭の中に浮かべるより早く女神からの返事が返ってきた。

(え、あ……え? あの……)

 ワンコールで電話を取られた様な素早さにアリーナは動揺している。何をどう話すか纏めていない上に、女神はこちらを完全に把握しているのだ。

(どうしたの? 貴方も大変な事になっているみたいだけど心配はしないで。貴方は貴方の信じる人をしっかり信じてあげなさい)

(あ、ありがとうございます。 女神様……。 あの……私は……)

 アリーナは女神の言葉に励まされるが、自身が抱いたヴィルやエルフィル、カミラ等への嫉妬の感情に対する贖罪の想いを口にしようとするが……

(そ〜いうのはね、二〜三発ビンタ! 鈍感君にはそれくらいやっちゃいなさい♪)

 この女神、お供え物の果実酒でも何処かで拝借してるのだろうか?すっかり飲み会での絡み酒モードである。

(え、ビンタって……! あの、女神様……!)

 慈愛の女神らしからぬ助言にアリーナは戸惑いの声を上げるが……

(それじゃ、頑張んなさ〜い♪)

 すっかり出来上がった様子で声がフェードアウトしていってしまった。気がつけば光の柱も消えてしまっている。

「あ……」

 祈りの時間が終わってしまったアリーナは心ここに有らずといった感じで祭壇から退散するより仕方が無かった。

(私は……どうあるべきなんでしょう……?)


ーキギィ……ー


 教会の正面扉を開けると外はすっかり日が落ちて暗くなってしまっていた。

 大通りは相変わらずの人通りで街には酒場の明かりと喧騒があちこちから漏れ聞こえてきている。

(冒険者ギルドに……戻りましょうか)

 何処か行くアテなど無いアリーナはヴィルが居るはずの冒険者ギルドに戻る事にするのだった。

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