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殺戮のメサイア  作者: 星島新吾
第一章中編:護身竜の村奪還作戦【本泥棒編】

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Alter.71 チートショップの秘密

【今回の今北産業】

・護身竜の村の民はエルフと呼ばれるようになった。

・護身竜の村の民はエルフと呼ばれるのが嬉しいみたいだ。

・イナンナと今後の村運営について話をした。

もう来訪者もないだろうという静謐の中で、彼は膝を抱えたままうずくまるようにしてソファの上に座っていた。


「今日は色々あったな……流石にもうお腹いっぱいだ……何事も無いといいけど」


チート管理ツールは部屋の暗さに順応するかのように光量を補正し、直接網膜へと投射してくる。彼は瞬きをしながらそれに目を馴染ませ、指を虚空に浮かび上がるそれらに這わせていく。


今日売られているチートも、最近ずっと続いていた代わり映えのない品揃えかと思って画面を見ると、ラインナップが一新されていた。


前回見たのは、ちょうどあの大量殺戮を行った直前のことだ。あれから一度たりとも、このチート販売画面を開くことはしなかった。


単純に忙殺されていたというのもあるが、トーレッドに移り住んでからは、代わり映えのない品揃えにうんざりしていた、という理由も大きかっただろう。


「この力には……助けて貰ってばかりだな」


今回の一件はチートでなければ対処できないものだった。本来ならば滅びていたはずのトーレッドが、こうして形を保って残っているのは、紛れもなくチートの介在があったからに他ならない。そうでなければ、ここで祭りを開いていたのは別の国の人間になっていたことだろう。


などとグスティは浮かび上がる燐光を目にしながら茫然とそんなことを考えていた。


「ただでさえ持て余す力だ……これ以上私欲で使えば破滅しかねないな」


そう心の中で独りごつ。

殺す力が無ければ、もしかすると全員で死ぬ気で逃げる選択肢を取ったかも知れない。ベッドに横たわり目を瞑ると、その可能性もあったかも知れないと瞼の裏に映し出された。


しかしそれにはまた別の多くの問題があり、あの時にできた判断の中では最善策であったと彼は自分に言い聞かせていた。


「俺は……既に溺れているんだろうか」


暗い部屋の光量に調整されたナイトモードのウィンドウを前に、彼は思案に暮れる。


グスティはその自覚がありつつも、それを肯定している言葉を模索している自分もいることを知っていた。更にいうとその偉大さと素晴らしさを知っているせいで、チートを手放せなくなっている自分も同時に存在することも知っている。


寝る前に装甲チートが有効になっているか確認する生活は最悪だが、それをしないともはや彼は眠ることさえ困難な自分が、とても気持ちの悪い存在に思えて仕方がない。


「今じゃあ、スマホを夜に見る感覚で装甲チートの確認だ……」


そんなことを心の中で愚痴りながらも、手は止まらない。チート管理ツールから販売UIをタップし、未購入のチートを探していく。彼はまた、新しい安心を買いにやって来たのだ。


「今日も馴染みの顔かな……っと」


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【本日のA.W.C.Sショップ】 現在使用TP  30,413,619 TP

・ダウジングチート 150 TP

・飛行チート 5,000 TP

・お菓子生成チート (済)

・識別チート 100,000 TP

・雨乞いチート 1,000,000 TP

・晴天チート 1,000,000 TP

・地質変化チート 5,000,000 TP

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画面を開いてすぐに、数秒の硬直があった後。TPの数が桁違いでないかを確認し、そしてその意味をしばらく考えた後に、その答えはゆっくりと絶望から顔を出した。


「3000万TP……コレは………あぁ、そう言うことか」


その大きな数字がどうやって稼がれたのか、彼は理解などせずとも、初めから知っていた。むしろ見て見ぬフリをしていたと言っても過言では無かった。


TPを稼ぐ方法は二種類。


まず、誰かと会話したり関係を構築したりすることで得られる。大体一度の会話で1から10TPが獲得され、友人などを作れば更にプラスで10TP。友達百人でおにぎりを食べながら会話でもすれば、1000TPもTPを取得することが可能である。


───そしてもう一つの方法は、生物を死に至らしめること。


動物によって点数が決められており、その点数分TPが付与される仕組みだ。たとえ同じ豚であっても、貰える点数にはバラつきがあり一匹で5TP貰える豚もいれば1TPにしかならない豚もいた。


その価値基準がどこに据えられているのかは定かではなかったが、その悪魔が作ったと思われる命の価値基準で、このTP計算は行われていた。そして、どちらの方法でも、継続すればするほど取得倍率は増加した。


何も殺さず人と関わり続けることで自然にポイントは溜まっていき、また、察しの通り、一度に大量に殺せば、倍率のかかった状態で大量のポイントを一気に入手できる。


また、人との会話で手に入れることの出来るポイントは微々たるもので、チートショップに並ぶほとんどの商品は購入できない。しかし、今回のように大量に人を殺した後であれば、大量のTPが付与される、という仕組みのようだった。


「楽をしたけりゃ人を殺せ、ってか。神様は人に恨みでもあんのかね……」


グスティは苦笑する。このシステムの管理者はきっとクソ野郎なのだろう。そう何度、彼が思ったのかは定かではない。











冷たい月光が差し込む部屋は静寂に包まれ、祭りの喧騒はいつの間にか遠いもののように感じられる。暗闇との輪郭が朧気で、まるで体の中に闇が侵食してきているようだった。


「ああ……暗闇はこんなにも心地が良いのにな」


そう呟きながらも、体は窓の前に立ち、眩しい月夜にその身を晒した。


窓の向こう側では大きな月がまるであざ笑うかのように彼を見下していた。


「あとどれぐらい、俺は殺すんだろうな……」


護身竜の村の民に降りかかる火の粉を払うつもりでいたら、いつの間にか多くの命をこの手にかけていた。まるで世界が彼らを生かしてはおけないと、襲い掛かってきているようにすら思えてくる。


グスティはぼんやりと月を眺めながら、その目に映るチートは全て購入した。


「順調にチートの数が増えて自分でも管理できなくなってきたな……チートを管理するチートとか無いのか? 結構高値でも買いたいんだが……」


そう思いながら、確認も兼ねて所持しているチートを閲覧する。



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【アナタが使えるチート】

NEW!

・〈一度きり〉識別チート

・ダウジングチート・飛行チート・雨乞いチート ・晴天チート・地質変化チート


・殺戮チート・装甲チート・翻訳チート・雄っぱいチート・運命の糸チート・癒しの霧チート・雄尻チート・迷彩チート・投擲チート・分裂チート・演出チート

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一度きり、という文言にクビを捻るグスティ。


嫌な予感がしつつも、今回新たに購入したダウジングチートに使用する。すると、識別チートは使用できるチートの欄から姿を消し、代わりにダウジングチートに※1という追記のようなものが見れるようになった。





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ダウジングチート※1

説明:

異世界でご活躍中の貴方様へ、本日は特別な力を秘めたダウジングチートをご紹介いたします。このチートは、あなたの感覚を研ぎ澄まし、隠された宝物や貴重な資源の位置を探り当てるための素晴らしいツールです。

ダウジングチートを発動させると、あなたの内なる直感が目覚め、周囲のエネルギーが感じ取れるようになります。この特別な力は、周囲の環境に隠されたアイテムの存在を感知する能力を与えてくれます。まるで、食材の香りや色合いを捉えるシェフのように、あなたの心がその場所を知覚します。

使用方法は極めてシンプルです。まず、心を落ち着け、周囲に意識を向けてください。アイテムの存在を感じるために、ゆっくりとした呼吸を行い、周囲の空気の変化や温度の違いを感じ取りましょう。特定の物体が近くにあると、微細な振動や温かさを感じることができるはずです。

このチートの素晴らしさは、目に見えないものを感じ取る力にあります。近づくにつれて、あなたの直感が強まります。まるで隠された宝物が、あなたを呼び寄せているかのように感じることでしょう。

ただし、この力を使うには集中力が必要です。一度に多くの情報を求めると、逆に混乱してしまうことがあります。心を整え、静かに感覚を開放することが鍵です。

ダウジングチートは、探求心を満たし、あなたの冒険をさらに豊かにするための素晴らしい道具です。どうぞ、この神秘的な力を存分に活用し、新たな発見を楽しんでください。


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何者かによって書かれた説明文をグスティは黙読していく。


頭の中で喋っているのは、イタリアンシェフかスピリチュアルに目覚めたジャ○ネットの社長だった。不気味というか、不思議と人間が書いた文章には見えない。


テンプレート化した文章を使って、機械が人間のように書いてみたと言われても納得できる、独特の気色悪さがある。


内容は理解出来たため、すぐに説明欄は閉じることにした。そして夜に開くんじゃなかったと若干の後悔が湧き、なにかにコチラを覗かれているような感覚に、背筋に冷たい汗が滴った。


異世界(ココ)で完璧な日本語のテキストは正直答えたな……」


ココに招いた何者かは、コチラの素性を完璧に把握しているということだ。


何も間違いでここに送ってきたわけではないらしい。他人の空似でここに来た、という淡い希望も打ち砕かれた。


グスティと名乗る以前の彼を知る者がどこかで、このテキストを送ってきた。


一体どこから?


その疑問のヒントになりえるかもしれないのが、冒頭の文言だ。


『異世界でご活躍中の貴方様へ』という走り書き。これは、書き手がこの世界にいるならば、こんな表現はしないのではないか、とも考えられる。単純に「異世界人さんこんにちは」くらいの挨拶ならばこの考えは全く意味をなさないものになる。しかし、もし「アレら」と自分が別の世界にいると考えたらどうだろうと、グスティは考えを巡らせた。


「アレらはこの世界にいないのか……?ココでチートを俺に好き放題使わせているのも、自分には害がないと分かっているから…? 」


夜だからか、妄想にも拍車がかかる。

こういう夜は水を飲んで眠るに限る。特に、写真を撮られまくったり、大量の人間からプレゼントを渡されたり、殺されかけたりした日には。


薄い燐光を放つウィンドウは、右手を軽く握ることで閉じられる。そうしてグスティは外をぼんやりと眺めながら、少し多めのワインと水を飲んだ。


そしてソファに座ると、そのまま片足を立て、それを枕に眠りにつく。


いつかきっと訪れる、護身竜の村の住人たちと過ごせる平穏な日々を夢見て。





次回:レインコートチルドレン






後書き:

ここまで読み進めて頂いてありがとうございます。

かなり先まで書けてはいるのですが、文章がまだ拙く、今ある文章に修正ばかりかけている状態です。次の投稿は一週間以内には……たぶんあると思います。

最速で情報を知りたい方はx(旧Twitter)で情報をキャッチできます(たまに)。

たぶん下のやつが、xのリンクです。

https://x.com/Nobisiro_family

おにぎりのマスコットがバナーが出てきたらあってます。

それでは(・ω・)ノシ。




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