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殺戮のメサイア  作者: 星島新吾
第一章前編:護身竜の村奪還作戦【逃亡編】

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Alter.18 土塊逃走劇part1

//今日は超豪華三本立て part3まで//


【今日の今北産業】

・敵の隊長V字髭のダニール・スミルノフ、通称ダニカ隊長登場。

・モリオンが捕まってしまった。

・人魚少女からの通信がないことに焦りを覚えるダニカ隊長、彼女に一体何があったのか調べ始める。





草色の残像を引きずり、ゴーレムは森を駆け抜ける。追手の気配はなく、グスティは確認のためコックピットから身を乗り出し、振り返った。


その視線の先、護身竜の山からは、最初に見た時の五倍を優に超える大群が、松明の明かりを煌めかせながら村へと下山している。夜の山肌を埋め尽くす炎の帯は、さながら地獄の行進のようだった。


「あんま適当なこと言うとアレだけどさ…多分、万はいる」


恐ろしい光景に、グスティは思わず生唾を飲み込む。


「皆逃げられたはずよ……次の道は? 」


腹部を押さえながら、竜の巫女は鈍痛に顔を歪ませ、次の指示を求めた。


「とりあえずこのまま道なりに真っすぐだ」


「……それじゃ、とばすわ」


竜の巫女はそう言い放つと、より多くの熱量をゴーレムへと送り込み、操縦桿を容赦なく前へと倒し込んだ。


グォングォンと咆哮を上げるエンジン。排熱管からは、これまで以上に激しく蒸気が噴き出し、熱気を帯びた空気が震える。


しばらくゴーレムを走らせるにつれ、竜の巫女の顔色が急速に悪くなっているのが見て取れた。


「大丈夫か?」


「…うるさい。集中出来ないでしょ……」


脂汗を掻きながら、彼女は必死に操縦桿を握りしめる。腹部を貫かれたまま、休むことのない振動に耐え続けるその体は、既に限界に達しつつあった。


意識が途切れる前に、一刻も早く安全な場所へ。その一念で、竜の巫女は朦朧とする意識の中、耳元で響く男の耳障りな声を頼りに、ゴーレムをひたすら走らせ続けた。


しかし、そんな彼らに更なる試練が襲いかかる。


「そう、そこを出たら……って…!」


突如、一体の敵性ゴーレムが、武器を構えて行く手を阻むように立ち塞がっていた。不幸な偶然が重なる状況に、グスティは唇を強く噛み締め、操縦桿を手前にぐっと引き寄せる。


急ブレーキがかけられたゴーレムは、四肢の足を前のめりに転がすようにして、その巨体を鈍らせた。


「クソッ…前にゴーレムが!」


闇夜に漆黒の影を落とすように、一体のゴーレムが道を塞ぐ。風をイメージした流線型のボディは忍者のように研ぎ澄まされ、金の鶏冠を模した兜を頂いている。


一般の帝国産ゴーレムとは一線を画す、豪華な装飾と独特のカラーリング。グスティは一目で「コイツは特別な機体だ」と直感した。


「誰だろうが関係ない…アタシの前に立ちふさがるヤツは全て灰にする! 」


竜の巫女は、振り絞るように手を前に突き出し、炎の塊を放つ。だが、敵ゴーレムはまるで自らの能力を見せつけるかのように、するりとその攻撃をかわした。


「なんだあの動き…良さげな機械オイルでも差してんのか?」


グスティは目の前で起きたことが信じられなかった。まるで雪原でスキーでもしているかのように、敵機はわずかに足を曲げたかと思うと、横へ滑るようにスーッと流れたのだ。


「ばっきゃろう! 性能がちげえのよ!」


ゴーレムから返事が返ってくる。まさか地獄耳の操縦者が乗っているのかと思いきや、敵の声は、そのゴーレムの天井から聞こえてきた。


どうやら天蓋の水晶から音声が響いているようだった。竜の巫女は困惑して辺りを見渡したが、グスティはそれが通信機の類であるとすぐに理解できた。少し考えた後、鹵獲した敵ゴーレムには元々通信機能が備わっていたことを思い出し、その機能がまだ生きているのだろうと見当をつけた。


そんな思案を巡らせている間にも、敵のゴーレムはぺらぺらと饒舌に話し続ける。


「この超スピードゴーレムの乗り手である、シュネル様から逃げようってんだから困ったもんだ。―――どこの所属だ。脱走兵とは許せん」


天井から響く声に苛立ちを募らせた竜の巫女は、コックピットから敵に向けて火球を放った。


しかし、今度は避けずに敵のゴーレムはそれを受け止める。ゴーレムの表面をわずかに溶かす程度で、ほとんど効いていないようだった。火力が落ちているのは確かだが、それ以上にゴーレムに施された特殊な細工が、攻撃を無効化しているのは間違いなかった。


「ちょこざいな…」


竜の巫女は苛立ちを隠さず舌打ちをする。それを聞いたグスティは、まるで自分たちが悪党であるかのような気分になる。


「おいおい、搭乗者は異端核保持者か? 嫌がらせでこんな端に飛ばされちまった俺様にまさかの御褒美到来か?」


金の鶏冠を戴くゴーレムは、手に持った巨大なハルバードを構え、猛然と突進。竜の巫女が駆るゴーレムに、強烈な一撃を叩き込んだ。


「…ガァ! 」


激しく揺さぶられるコックピット内で、竜の巫女は血を吐く。


彼女が傷つけられたことで、グスティも一瞬血が上り、目を細めて唇をへの字に結ぶが、すぐにいつもの笑みが戻る。


「こりゃ何とかしねえと、マッズイな」

次回:土塊逃走劇part2


12時頃と7時頃に投稿予定。






あくまで予定…うんうん。

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