89話
「では、看破させていただきます。この水晶に手を乗せてください。」
シスターが部屋に戻ったのを確認し水晶に手を置くように促してくる神父。
「わかったよ。」
素直に従い水晶に手を置くフレデリック。フレデリックが水晶に手を置くと水晶内部にフレデリックのステータスが映る。
「な、なんですか、このステータスとスキルの数は!!」
「何って僕のステータスだよ?へぇ~こんな感じで見えるんだ。これ便利だね。僕にくれない?」
「い、いや、あげませんよ。……しかし本当に寵愛を持っているんですね。」
水晶を机の上に乗せた後、フレデリックに向かって跪く。
「神子様、今までの無礼をお許しください。」
「改まってどうしたの?気にしなくても良いのに。」
「いえ、そういうわけにはいきません。これから貴方様に仕える身ですので。」
「勝手に決めないでほしいけど、それなら話が早いね。君さ、僕のやりたいことに協力してくれない?」
「かしこまりました。で、やりたいこととは?」
「教育機関を作ろうと思ってんだ。そこで君の力を借りたい。君達の信用は僕が回復してあげるからさ。」
跪いている神父の手をとり立たせ、近くの椅子に座るフレデリック。
「それに君達の目的も手伝ってあげるから安心して良いよ。」
「私達の目的ですか?」
「うん。僕の予想だけどね。君達女神教の目的は2つ有ると思うんだ。1つ目は今世界で主流の宗教に成り代わること。こっちは協力できそうにないかな?で、2つ目は原初の女神の復活。」
フレデリックの言葉が教会内に静かに響く。その言葉を聞いた神父が目を大きく見開く。
この反応は多分当たりだね。というか実際この国は宗教が変わってたしね。
「で、当たってるかな?」
「……ええ。」
「まぁ、僕が出来ることは限られてるし、とりあえず信用を回復するところから始めようか。」
椅子から立ち上がり教会の外へ向かうフレデリックと後ろを付いてくる神父。
そう言えば名前聞いてなかったね。一応聞いておこうか。
「そう言えば名前聞いてなかったね。名前なんて言うのかな?」
「私の名前ですか?そう言えば名乗っていませんでしたね。マイケルと申します。神子様のお名前を伺ってもよろしいですか?」
「僕も名乗ってなかってね。フレデリックだよ。よろしくね。じゃあまた今度来るからシスターにも説明お願いね?」
「かしこまりました。」
教会から出て城に向かうフレデリック。城に向かうとカイとライラが待っていた。
「どうしたの?」
「はぁ。今日食料を配ったか?今食料を持って配ってんのはアンタだろうが。」
「あ、忘れてた!今から配りにいかないとね!というか面倒だから明日からは食料庫に食料入れとこうか?」
「……そうしてほしいけど食料が腐ると困るからしばらくはアナタが配ってくれたほうがありがたいのよね。」
収納内部の食材は時間止まってるもんね。でも毎日だと面倒だよね。……収納のスキル習得条件何となくわかってるし教えようかな?
「ねぇ、カイって収納のスキル覚えたいとか有る?」
「……その言い方だとスキルの会得条件を知ってるみたいに聞こえるんだが……」
「うん、あってるよ。それにこれから作る教育機関では全員に教えるつもりだから気にしなくて大丈夫だよ。」
フレデリックの言葉に頭を抱えながらため息をつく2人。その姿を見てきょとんとしているフレデリックにカイが説明を始める。
「……あのなスキルの習得条件ってのは普通誰にも言わないもんなんだ。しかも収納って……暗器や危険物を輸入し放題になる。便利にはなるかもしれないが死体を収納に入れ別の場所に捨てたら証拠も残らない。」
「確かに危険性が増えるけど収納の中身がわかる魔道具でも作ればいいんじゃない?」
「それはそうなんだが、それが出来るまではどうするんだ?」
うーん、面倒だね……てか、そこを考えるのって僕の仕事じゃないような気がするね。
「出来るまでは信用できる人以外には教えなければ良いんだよ。とりあえず、カイとライラにアレクに教えてから考えようか。」
「え?!私も入ってるの?」
「当然だよ!明日教えるから今日は、ご飯配りに行こうか。」
食料を配るために街に降りていく3人。街の中で食材を配るついでに住民の表情を確認すると諦めや絶望の混ざったような表情を浮かべている。
何でそんな表情なのかな?何もして無いのにね。1回猫に変えて支配下に置く?
「何考えてるかわからないが余計なことはするなよ?」
「何でバレたの?」
「アナタ自分が考え事をしてる時に表情がコロコロ変わるのよ……」
なるほど、確かにそれはバレるよね。
フレデリックが自分のほっぺをムニムニとしながら食材を配る。
これさ、商人とかも来ないようになってるのかな?その辺もどうにかしないとね。塩とか足りなくなるだろうし、どうしようかな?




