76話
いくつかの街を通り過ぎた辺りでカイが口を開く。
「なぁ、こんな集団で走ってるのに何で誰も出てこないんだろうな。」
「さぁ、なんかあったのかな?でも街のたびに戦闘になるよりはいいんじゃない?」
「それもそうか。で、後どれくらいで着くんだ?」
「次の街だよ。そろそろ見えてくるよ。」
あれ?あんなに寂れてたっけ?あんまり観察してないからわかんないや。
街が見えてくると、街の様子がおかしい事に気づいたカイがフレデリックに質問する。
「……なぁ本当に関わってないんだよな?」
「関わってないと思うんだけど……あっ!」
そう言えば物資全部盗んでたっけ?もしかして町の様子が全部変だったのって僕のせい?
「あっって言ったわよこの子。」
「……正直に言え。」
「何をやらかしたのかにゃ?」
「酷い!僕がやらかしたことは確定なの?!……まぁやらかしてるんだけどね。」
全員が頭を抱える。その様子を見て満面の笑みで答えるフレデリック。
「この国の物資という物資回収したと偉そうな人達を殺してたの忘れてた。」
「「はぁ?!」」
「うん?聞こえなかった?じゃあもうい「待て待て!」どうしたの?」
「言いたいことはかなりあるが、まずなんでそんな事を忘れてんだよ。」
「いや、それより印象に残る事があってさ……」
ムキムキのエルフを見るととムキムキの集団を除いて納得する。
「……たしかに忘れるわね。で、どうするの?戦争どころじゃないわよね?」
「いや、このまま城を攻めて、国を滅ぼすよ。で、新しくここに国を作ろうと思うんだ。差別のない国を。」
真面目な顔のフレデリックを見て、誰も何も言えない
色んな人が来れば何人かムキムキのエルフもいるよね?
……猫耳は取れることを信じようか。
「アンタ、考えてないようで考えてるんだな。」
「まぁね!それより突撃するよ!僕に続いて!」
門を蹴破り街の中へ入る。街の中に入ると以前の賑わいはなく、この国の惨状を知った際に訪れた街のようにぼろぼろになっている。
「聞けーー!!僕達は君達を解放しに来た!!」
フレデリックが街に入るのと同時に叫びながら演説を始める。
「君達が何故こんな目にあっているのか教えるよ!!全ては王族や貴族のせいなんだ!!この国の上層部は自分たちの力を保持するために国民の力を削ぐために狂気的な政策に出たんだ!!」
初めは聞く気のなかった人々がだんだんとフレデリックの言葉に耳を傾け始める。
「だから僕達はこの国を変えに来た!!皆力を貸してくれ!!」
死んだ目をしていた人々の目が復讐に燃える。
「討つべきはこの国の王!!僕達の後に付いてきて!!」
フレデリックの言葉で、立ち上がるレオニアの住民。その様子を見て納得のいかないカイがボソッと、
「本当に考えていたのか?……いや、ないな。」
「無いわね。あの子が考えると思うかしら?」
「兄貴はにゃにも考えて、無いと思うにゃ。行き当たりばったりにゃ。」
何か後ろがうるさいけど気にしたら負けだよね!じゃあ城まで走り抜けようか。
中央に向かっていると何度か衛兵が止めに来る。
「獣共止まれ!!この先を何処だと思ってるんだ!!止まれと言ってるだろうが!!」
「止まれと言って止まる馬鹿が何処にいるの?皆無視していくよ!」
止めに来た衛兵たちが人の波に押しつぶされていく。
「ぐえ、ちょっ、やめ」
「痛い痛い、踏むな」
全員が通り過ぎる頃には、止めに来た衛兵たちは動かなくなるが誰も気にしていない。
死んじゃったかな?誰も気にしてないしいいかな?
そのまま城まで走り抜けると城を守るように大きな盾を持った鎧を着た人々とローブに杖を持った集団が現れる。
「この国を解放しに来た!!そこを退くなら命だけは助けてあげるよ!!だからどいて!」
「獣風情が!!魔法用意!!」
先頭に立つ男が叫ぶ。男が叫ぶと詠唱が始まる。
「『火の精霊よ、我の言葉に従い』「長いよ!」グハァ」
「「はぁ?!」」
詠唱がある程度聞き長いと判断したフレデリックが詠唱しているローブの集団を殺し始める。
詠唱が長いよね?こんなの倒してくださいって言ってるようなもんじゃん。
「詠唱中に攻撃するとは!!この卑怯者め!!」
「?馬鹿なの?攻撃を黙って受けるアホが何処にいるのかな?攻撃しようとしたんだから、されても文句言えないよね?皆投擲して!!」
「「にゃああ!!」」
フレデリックの言葉で、槍を投げ始める。城の前に槍の雨が降る。
槍の雨が止むと半分以上が串刺しにされた死体に変わる。
「降伏するなら今だよ?」
「こ、降伏する!い、命だけは助け──」
フレデリックが問いかけに応じようとした瞬間背後から首を切り落とされる。
ふーん、覚悟が決まってる人も居るんだね。




