74話
「……アンタがここに来ると面倒事の気配がするんだが……」
階段を降りて来ながら、フレデリックをジト目で睨む。
「酷いなぁ。まぁ、面倒事で合ってるんだけどね。ライ、僕に付いてきてもらうよ。」
「……要件を聞いてからでも良いか?」
「聞いたら多分来ないと思うからダメ。」
ため息をつきながら呆れるカイ。
「はぁ、とりあえず上に来てくれ。」
「わかったよ。」
階段を登り執務室に入ると、大量の書類に囲まれたライラが死んだ目で仕事をしている。
うわぁ、大変そうだね。やっぱり上に立つのって罰ゲームだよね?この世界労基とか無いだろうしね。
「なによ。」
「いや、大変そうだなぁって。」
「誰のせいよ、誰の!!あなたが余計なものを持ってきたから領主の仕事もこっちに回されてるのよ!!」
机を叩きながら講義するライラ。
机が壊れそうだね。壊れたら面白いのに。
「……で何の用よ。」
「戦争するからカイを借りに来たよ。あ、ギルドマスターも来る?」
机に突っ伏して頭を掻きむしるライラ。頭を押さえながらため息をつくカイ。
「……丸投げするんじゃなかったのか?」
「いや、丸投げするつもりだったけど家畜みたいにされてた人を保護したから彼らに復讐させようと思ってね。で、指揮官をカイに任せたいんだよね。」
「いや、なんで俺なんだ?アンタがやればいいだろ。」
「後始末も丸投げしたいからね。……あとあんな筋肉といたくない(ボソッ)」
「……何か言ったか?」
「何も言ってないよ。それより早く行くよ?」
カイを担ぐフレデリック。
さて、行こうか。カイをあの筋肉達に投げ込んだらどんな反応するかな?
「待て待て。1回降ろしてくれ。まだ仕事もある。終わるまで待て。」
「僕には関係ないから連れて行くよ?」
「今カイを連れてかれるのは困るわ。この量の書類が見えないの?」
「君の仕事じゃないの?」
「……気がついたら押し付けられてたのよね。これなんか別のギルドのやつよ……」
書類をフレデリックに見せながら自虐的に笑うライラ。
可哀想に……ギルドマスターも連れて行こうか?連れていけば仕事やらなくていいんじゃないかな?連れて行こうか。
「ねぇ、君も来る?君がいないと回らない街なら遅かれ早かれ終わるよ。なら君も早いほうがよくない?」
「それは、そうなのだけれども……」
カイをソファーに投げて口ごもるライラに近づく。
「ぐぇ」
「大丈夫。僕は君を責めないよ。一緒においでよ。」
「……」
答えないってことは連れて行っていいってことだよね?
ソファーに倒れ、ジト目で睨むカイが口を開く
「……もう少し丁寧に扱ってくれ。」
「よし、行くよ!!」
「行くって、きゃあ!」
「ここからは全部僕のせいにしていいから。2人共行くよ!」
そう言えばギルドマスターは鼠が嫌いだったよね。仕方ないから猫にしてあげようか。……猫の◯返しかな?
2人を猫型の分身が担いでいく。ギルド内が混乱に包まれるが気にせず進んでいく。
「……俺の言葉は無視か。」
カイがポツリと言葉を漏らすが直ぐに風が言葉をかき消したためフレデリックの耳には届かない。
後始末できる人も回収したし、楽しみだなぁ。……あのムキムキ達がいるから出番あるかな?
そのままガチムチの集団に合流する3人。ムキムキのエルフが見えた辺りから頭を抱えるライラとカイ。
「……まさかあれじゃないよな?」
「そうよね。猫耳の生えたムキムキのエルフなんて居ないわよね。」
「残念ながらあれはエルフ(だったもの)だよ。」
「あ、兄貴!!おーい兄貴が帰ってきたにゃ!!」
パツパツの服を着たムキムキのエルフが手を大きく振りながら近づいてくる。
あれは本当にエルフなのかな?筋肉の妖精ってことでいいかな。考えるだけ無駄だろうし。
「あれ?1人って言ってなかったかにゃ?」
「1人の予定だったんだけど後始末大変そうだし連れてきちゃった。」
「……語尾がにゃのムキムキで猫耳の生えたエルフ?本当にエルフなんだよな?」
「にゃはは、面白いことを言うにゃ。どっからどう見てもエルフじゃなにゃいか。」
「エルフ……エルフってなんだ?」
「ええ、私にもわからないわ。それよりこの猫ちゃん達のさわり心地最高よ。」
「……ああ、そうだな。」
フロントダブルバイセップスのポーズを取りながら笑いかけるエルフ(?)を見て現実逃避で運んできた猫を撫で回す2人。
うーん、このあと全員が集まったら倒れそうだね。そう言えば皆何処に言ったのかな?
「ねぇ、皆は何処に行ったの?」
「みんにゃは、暇だからダンジョンに潜るって行ってたにゃ。でも全員が行ったら困るから俺が待っていたにゃ。」
「そっか。じゃあ少し待とうか。あ、2人共今聴きたいことがあったら答えるよ。」
猫型の分身を撫でて現実逃避をしている2人に話しかける。
何時まで撫でてるんだろうね。まぁ嫌がってないみたいだしいいかな?
「ああ、そうだな。まずそのムキムキのエルフは何なんだ?」
「数日前までは普通だったんだけどね。気付いたらムキムキななってた。」
「何よそれ。……もしかしてこれから来る人達もムキムキなのかしら?」
「凄いね。よくわかったね。全員ムキムキで同じ様な感じだよ。」
「そう、やっぱりムキムキなのね。」
諦めた顔をしながら猫型の分身に顔を埋め始める2人。2人の疑問に答えているとムキムキの集団が帰って来る。




