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ありとあらゆる未来のある鼠として転生したから好き放題生きていく【旧】全ての可能性がある鼠に転生(仮)  作者: リント
第2章

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55話

街に向かって歩いているとフレデリックが心配だったようで、カイが近づいてくる。近づいてきて早々に、


「……本当に皆殺しにしたんだな。」

「まあね!一応指揮官みたいなやつだけ残して全部殺したよ?」


そう言いながら肩に担いでいた男を投げつけるフレデリック。受け取りたくなかったのか一度避けたあとに嫌そうな顔をしながら拾い上げる。


「……で、どうだった戦争は」

「楽しかったけど、モンスターを狩っていたほうが楽しかったかな。」

「……そうか。あと聞くのを忘れてたんだが、アンタ怪我はないんだよな?」

「全部返り血だけどお風呂に入りたいなぁ。スンスン、うへぇ」


臭いね……ゴブリンほどじゃないけどなかなかキツイなぁ。

自分の匂いを嗅いで嫌そうな顔をするフレデリック。それを見て今更かよ、と呟くカイ。


「はぁ、後始末が面倒だ。」

「後始末?なんでするの?」

「……死体は放置すると伝染病を引き起こしたり、死体をモンスターを引き寄せたりするんだ。しかも数が多いと瘴気が発生してアンデッドが誕生したりする。……この数ならアンデッドは確実に産まれるな。」

「ふーん。なら後始末は何をするの?」

「それも知らんのか。」


頭を抱えて呆れるカイ。二人で話しているいるとアルテピアから鎧を着た戦ってすら無いのにボロボロの集団がやってくる。馬に乗った豪華な鎧を着た初老の男に話しかけられる。


「ここにレオニアの軍が来ていると聞いたが何処だ。」

「あそこの血溜まりがそうだよ」


指を指して答えるフレデリック。カイが頭を抱える。敬語を使わなかったことで、側近の男が怒鳴る。


「この方を誰だと心得ておるか。」

「知らないよ。誰なのこのオッサン。」

「オッサ……貴様無礼であるぞ!!」


指を指して聞いたフレデリックに側近の中年男性が剣を抜こうとする。

お、やる気かな?いいよ物足りなかったしね!


「待て。剣を抜くな。」

「し、しかし。」

「抜くなと言っておろうが、コヤツには今いる全員でかかった所で勝つことは出来まい。」


側近の男を止めながら馬から降りる。

えーつまんないなぁ。止めるなよ。


「部下が失礼した。すまぬがお主らの名前を聞いても良いか?」

「フレデリックだよ。」

「カイ……カイデンです。」


カイが名乗ると後ろの集団が、ザワザワしだす。

カイって有名人なのかな?なんか名前を知っている人がたくさん居る気がするね。


「そうか、貴殿がカイか。して担いでいるものは誰だ?」

「レオニアの指揮官です。情報を抜き出そうとフレデリックが捕虜にしました。」

「そうか。ご苦労であったな。」


カイから指揮官の男を受け取る側近の男。


名乗って無くない?あのおっさん達。人に名乗らせてありえないよね?


「ねぇ、名前聞いてないんだけど。」

「き、貴様!いい加減にしろ!」

「はぁ、いい加減にするのはお前だ、アモス。……私の名前だったな。私の名はジョル・アルマンだ。」

「よろしくね。ジョルさん。」

「よろしく頼む。それよりお主私の軍隊に入る気はないか?」

「ないよ?」

「そうか。気が変わったら教えてくれ。では我々はレオニア軍がいた場所へ向かう。さらばだ。」


断られることが分かっていた様であっさり返される。カイと二人でジョル達の軍が通り過ぎるまで動かない。 


いやー、アモスだっけ?最後まで凄い顔してたね。笑いを堪えるのが大変だったよ。


「……アンタ凄いな。相手は貴族様だ。よくあの態度を取れたな。」

「貴族だか何だか知らないけど僕は敬語を使う気無いからね」


ため息をつきながら町に歩き出すカイ。けれどその横顔は少し柔らかな表情を浮かべていた。





ジョル・アルマンSIDE──


フレデリックとカイと話を終えたジョルとアモスが話しながら馬を走らせている。


「ジョル様、彼の態度についてなのですが、」

「くどいぞ。アレは化け物だ。もしアレが暴れていたらと思うとゾッとする。……我々も死んでいたであろうな。」

「ええ、理解はしていますが……」

「部下の手前ああするしか無いのはわかるが、場に合わせることも必要だ。」

「申し訳ありません。ジョル様。」


しばらく無言で進む。戦場だった血溜まりについたジョルが叫ぶ 


「何なのだコレは!」


血溜まりに浮かぶ肉片。その全てが原型をとどめておらず、鉄のような血の臭いと肉の焦げたような臭いが辺り一面に広がっている。


そんなフレデリックが作り出した惨状を見た、兵士の中には吐くものもいる。


「……ジョル様、これは、」

「ああ、間違いなくアヤツの仕業であろうな。フレデリックっと言ったか。アヤツが街にいる間は監視せよ。」

「了解しました。」


軍が、動けない中冷静に判断する2人。馬から降り、血溜まりを調べ始める。


「ッ!これは!ジョル様、こちらを!」

「どうした、アモス、そ、それは!」


首輪を拾ってくるアモス。それを見て血が出るほど強く拳を握りしめるジョル。


「……これを使用していたのであればもはや容赦は出来ぬな。」

「ええ、そうですね。……出来るだけ回収をして王都に知らせなくてはなりませんね。……何時まで固まっているんだお前ら!」


アモスの言葉にようやく動き出す軍。それを見つめている鼠が、いるとも知らずに。




分身SIDE──


見に来て正解だったね!あ、ついでに首輪が気になりから拾っておこうか!


近くに落ちている首輪を回収し、収納に仕舞う。そのまま、軍がどう後始末をするのか気になった分身は、観察を続ける。


へぇ〜、死体を燃やすんだね。確かに燃やしたら死体は残らないね。死体が残らなければ瘴気も発生しないのかな?


フレデリックを監視するはずが、逆に監視されているジョルとアモス。


あ、そうだ。レオニアだっけ?あそこにも分身を送って観察しようか!


──(厄災)は遊ぶ。無邪気に無慈悲に無差別に。例え国が相手であろうとも。


──(厄災)は笑う。どんな結末が訪れようとも。


──(厄災)は喰らう。どんな希望(未来)であろうとも。



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