49話
「ちょっ、ぜぇ、待っ、ぜぇ、止まってくれ」
「えー、これでもペースは遅いんだけど……」
止まると、カイが膝に手を当てて息を整える。ある程度整うと睨みながら
「アンタよくこんな速度で進めるな。もう少し速度を落とすか、休憩をくれ。」
「うーん、何時もより遅いからね?まぁ、キツくなったら休もうか。それよりアルテピアって何があるの?」
「そんなことも知らないのか。それとそろそろ日が暮れる。今日はここで、寝るぞ。」
「わかったよ。薪を拾ってくるから休んでて。」
カイが休むために腰を下ろす。出来るだけ離れないように乾いた枝を拾い集める。尻尾を丸めそのすき間に薪を差しながら周囲を歩く。ある程度集め終えカイに聞く。
「こんなもんでいいかな?」
「まぁ一晩だし足りるだろ。それよりもアンタ、わざわざ戦争している所に何のようなんだ?」
「戦争に参加しようかと思ってね。」
「もしかして、お前の故郷なのか?……悪い事を聞いちまっ「違うよ?」はぁ?」
食い気味に答えると困惑したような声を上げる。
まぁ普通今の時期に行くなら故郷だと思うよね。僕も逆なら多分同じ事聞いてたし。
「じゃあなんで行くんだ?」
「うーん、暇つぶしかな?あと楽しそうだし。」
そう言うとカイは、怒ったような、悲しいような表情を浮かべながら、薪に火を付ける。
何か知ってそうだね!聞いてみようか!え?カイの心情?知らないよそんなの。
「ねぇ、カイ。君は戦争の何を知っているの?教えてよ。」
「はぁ……わかった。」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「今の戦争は既に5年以上続いていて、その戦争にライと2人で参加しただけの話だ。……そこで地獄をみた。」
カイが焚き火に鍋を置き魔法で水を入れ、昔を思い出すように空を見上げ、静かに語る
「あれは酷かった。横で話していた奴が目を逸らした瞬間には挽肉になったこともあった。魔法が飛び交う中、突撃を命令され全滅した部隊も有ったらしい。敵兵に捕まった味方は体の中に魔石を仕込まれて、時限式の爆弾にされた事もある。」
沸騰したお湯を飲み喉を潤してから続ける。
「その内食料が、尽きて人を食らう部隊も出てきた。何時襲われるか分からない恐怖から敵だろうと味方だろうと殺しやつも居た。衣料品が足りず、蛆が皮膚に湧いてそれを泣きながら掻きむしる。そんな地獄が楽しいわけ無いだろ。」
「そうかもね。まぁ参加するって言ったけどどちらかに肩入れするわけじゃないしね。」
「どういう事だ?」
意味がわからないという顔をするカイ。それに対しクスクス笑いながら答える。
「だって第三勢力として戦争に参加しようとしてるからね!」
「……本気で言ってるのか?」
「嘘だとイイね。」
ふざけてるのかわからないカイの表情がイライラしているのがわかる。
少し遊びすぎたかな?まぁ冗談通じなさそうだもんね。
「じゃあとりあえず先に見張りやるから寝ちゃって。」
「すまない。ありがたく、休ませてもらう。月が真上に来たら起こしてくれ。」
そう言うと、マントで体を包み横になる。しばらくすると寝息が聞こえる。
よし!寝たね。なら分身出して遊んでてもいいよね?
分身を出し半分を狩りに行かせる。
あ、ダンジョンじゃないから狩り尽くさないようにしなきゃね!
「おーい、狩りすぎないようにねー。」
「「キューキュ(りょーかい)」」
出した分身の半分を狩りに向かわせて残りの分身と魔法の練習をする。が、はたから見たらふざけているようにしか見えない練習をしていた。
火属性と水属性は、まず、火の玉と水の玉を作りその形を変えていく。初めは歪なデフォルメされた鼠を作る。
む、難しいね。操作性の悪いゲームをしてるみたい……
土属性も同じように石像を作る。火や水と違い形は作りやすいが細部まで拘ると難しい。
うーん、細かくすると割れちゃうのがなぁ……練度の問題かな?
風属性は、小さな竜巻を作る。途中カイが起きそうになったので土属性の魔法で、岩の壁を作り、カイを囲い闇属性で覆い見えなくする。
危なかった。もう少しで起きるところだったね。まぁこんだけやれば起きないでしょ。
光属性は、レーザーの様に細くし木に向かって放つが木は貫通しない。試しにボール状にして木に当てると木が倒れる。闇属性も同様だった。
うーん、難しいね。レーザーの方がかっこいいんだけど、威力がなぁ……練度が上がれば多少は変わりそうだよね。
【Levelが上がりました】
【Levelが上がりました】
あ、レベル上がった。カイと交代する前に進化したいね!とりあえず1回分身解除して、練度上げとこうか。
痛覚遮断を使用し、分身を解除する。
【全属性魔法の練度が上がりました】
【全属性魔法の練度が上がりました】
【魔力操作の練度が上がりました】
【痛覚遮断の練度が上がりました】
だいぶ上がったね。これで多少は変わるかな?




