41話
中には様々なサイズのオークが普通に生活している。フレデリックの姿に気づくと、成体の複数の個体が子供を守ろうと素手で襲いかかってくる。それを横に剣を振り、2つの肉片に変えていく。
【Levelが上がりました】
「「ブモォー!」」
「うるさいなぁ。早くかかってきなよ。」
オークが鳴きながら増援を呼んでいる。近くを見ると殺したオークの子供なのか死んだオークに抱きついている個体が居た。そのまま大剣の横の面で押し潰し、死んでいたオークを含めて肉片に変える。その光景を見ていたオークは怒りと恐怖が混じったような表情で襲いかかってくる。
「始めから、来なよ。つまらないなぁ。」
そのまま、近づいてきたオークを両断していく。逃げ出していく個体も増えたが気にせずオークの群れを切り進める。だんだん武器を持ったオークが増えてきたが、武器ごと、切断していく。
楽しいね!出来ればもう少し強いと良いんだけどなぁ。
【Levelが上がりました】
【Levelが上がりました】
【Levelが上がりました】
【Levelが上がりました】
︙
【大剣術の練度が上がりました】
町の中心まで進むと、オークキングが取り巻きと一緒に現れ、その後ろに逃げていったオークが見える。
へぇ〜、勝てると思ってるのかな?舐められてるね。
オークキングが突然叫び、オークのステータスを強化される。
「ブモォー!!」
「「ブモォーブモォー!」」
「うるさいっての!はぁ、さっさとやろうよ。」
手をクイクイしながら、挑発していく。すると色んな属性の魔法が飛んでくるがわざと避けずにオークキングに向かっていく。オークキングに近づけないように取り巻きが全方向から剣や槍、魔法でキングを守ろうとしている。
──が、歩を止めることは出来ず、自分達ごと半分に切られ、王の命を取られる。
恐怖と絶望で心が折れたのか、残ったオーク達が、逃げ出していく。
つまらないなぁ……もう良いや。
鼠の分身を出しオークの町の全てを喰らい尽くしていく。生きたまま喰われたオーク達は声も上げる間もなく鼠の腹に収まっていく。
うーん。つまらなかったね。せめて最後まであがいてほしかったなぁ……まぁ仕方ないのかな?とりあえず今日はオークキングを売ろうか!
オークキングを腹で半分に切ってしまった為内臓を取り出し、ツタと罠魔法で束ねる。白銀の伸縮剣を、腰に固定しオークキングを背負う。
町に近づくと、またマイケルが近づいてくる。
「またお前かよ!あのな、普通は袋に入れて獲物は持ち帰るんだぞ?」
「そうなの?知らなかった。」
「知らなかったって、軽く騒ぎになってるからな?」
街を見るとフレデリックを指さしてオークが子供を捕まえてる、と叫んでいる人もいる。
「次からは気をつけてくれ。」
「うーん、覚えていたらね。」
「それ、やらないやつだろ。仕方ない、少しここで待ってくれ。ギルドで袋を貰ってくる。」
走ってギルドに向かうマイケル。しばらく暇になったのでスラムを見ると更に人が減っている。
うーん、どんな基準で人を使ってるんだろうね。領主がどうにかしたんじゃなくて多分実験に使われて減ってるんだろうね。
じっと見ているとマイケルが戻ってくる。
「何かあったか?」
「いや何でもないよ?それよりその袋に入る?」
「……一番デカいのがこれだったんだよ。一応持ってきたが入らないよな。」
ウルフくらいならスッポリ入る麻袋を持ってくるが、オークは倍ぐらいサイズがあって入らない。
「今回は仕方ない。早くギルドに向かえ。いや、やっぱり俺も付いてく。」
「何でさ。」
「いや、お前一人だと問題起こすだろ?」
「否定はしないけどさ、酷くない?」
2人でギルドの解体場に向かう。向かう途中で何度も驚かれるが、その度にマイケルが事情を説明する。ギルドの解体場に着くとマイケルが仕事に戻り代わりにライアンが近づいてくる。
「おい、坊主、また獲物を裸で持ってきやがって。」
ため息を付きながらオークキングを受け取る。
「ちょっと待てオークにしてはデカくないか?」
「そう?こんなもんじゃない?あ、売却でお願い。」
「いや、こんなサイズは見たことがない。おーい!看破持ち来てくれ!」
チッ、バレたか。そんなサイズ差がないからバレないと思ったのに。
今回は男性ではなく、眼鏡をかけた金髪の女性が近くにくる。
「これを見ればいいんですか?」
「ああ、坊主がただのオークとしか言わないから念の為に頼む。」
「はぁ、わかりました……オークキングです。オークキング?!」
女性が叫ぶことで注目が集まる。頭を抱えるライアン。
どうしたのかな?(すっとぼけ)
「なぁにが、ただのオークだ!どこで狩った?」
「ダンジョンだよ?」
ふぅーと息を吐き安堵する解体場の人々。
「お前さん他のオークは?」
「え?捨ててきたよ?運べないし。」
「「は?」」
沈黙が流れる。解体場に居たすべての人が頭を抱える。
何かやらかしたかな?収納使わないと持って帰れないから仕方ないよね?ちゃんと全部食べたけどそれは嘘だと思われるだけだし。
「まぁ、確かに一番高いけどよ。誰か人を雇って狩った獲物を運ばせたらどうだ?」
「うーん。森での生活が長すぎて、人といるのに慣れてないからやめとく。」
「そうか。とりあえずギルドで待っていてくれ。今回は番号で呼ばれるはずだから。これを持ってそっちに行ってくれ。」
「へぇ〜、普通は番号で呼ばれるんだね。」
問題が有りすぎて今まで普通に現金を渡されたことがないため、システムを初めて知る。
番号は11番だね。確かにこれなら名前を覚える必要もないし、番号だけなのは楽だね。
「はぁ、坊主、知らなすぎだろ。分からなかったら、人に聞いたほうがいいぞ。」
「ん、次からそうするよ。」
解体場から出てギルドで待つ。30分程度で名前を受付で番号が呼ばれる。
「11番。11番の方ですか?」
「うん。そうだよ。」
「金貨20枚になります。」
10枚ずつ2列に積み上げられた金貨がトレーに載せられて渡される。それを受け取り財布に入れて受付から離れる。
意外と高いんだね。これでしばらくはお金の心配は要らないかな?じゃあ、今日は寝ようか。
寝る前に体を拭く。が、血が取れない。
あー返り血を浴びた時点で拭くべきだったね。全く取れないよ!はぁ水浴びるかぁ。
水を浴びて汚れが取れた頃には深夜になっていた。
気づかなかった僕が悪いんだけど狩りを終えたら体を洗わないとね……
ギルドマスターSIDE──
フレデリックが返り血を何とか洗っている頃。
ギルドマスターの執務室にノックの音が響く。
「ライアンだ。」
「入れ。」
ライアンが中に入っていき、苦情を入れる。
「最近来たアイツどうなってんだ?」
「アイツ?ああ、フレデリックか……今度は何やらかした?」
ギルドマスターがため息混じりに質問する。
「オークキングをオークと言い張って売りに来た。」
「はぁ?!逆じゃなくてか?」
「ああ、しかも道中狩ったオークの討伐証明になる顎すら捨ててオークキングだけを持ってきやがった。」
「何やってんだ、アイツ……ダンジョン産だから安いとはいえ売れるんだがな……」
ギルドマスターとライアンがため息をつきながら頭を抱える。実際フレデリックは顎を剥ぎ取ってすらいないのだが捨てたと聞いて勘違いしているのである。
へぇ〜、売れるんだね。でも面倒だし良いかな?あ、でもたくさん討伐証明を持ち込んで困らせるのも有りだね!それか、収納持ちって話そうかな?
人を困らせて、満面の笑みを浮かべる鼠。はたして、彼らの胃が休まる日は来るのだろうか。
来るといいね!




