33話
「遅えよ!さっさとやるぞ!」
そう言ってルーカスは金属製のロングソードを構える。
へぇ~そう言うことするだね。なら気にしなくても良いかな?さぁ遊ぼうか!
「待ってください!決闘で、真剣の使用は認められていません!」
受付嬢にとめられる。
「うるせぇな!これはアイツとの決闘なんだ、口を出すんじゃねえ!別にいいだろ?」
「構わないよ。なら、もう一つルールを追加しても良いかな?」
「まぁ構わねぇよ。」
ヘラヘラ笑いながらルーカスが許可を出す。
やっぱりクズはクズだね!お陰で心置きなく潰せるね。
「じゃあ殺しても大丈夫にしようか。」
「何を言ってるんですか!」
「大丈夫。死ぬのは僕じゃないからね。」
「はぁ?!随分な自信だな!おい!」
「あれ?もしかして怖いの?それもそうだよね?だって子供相手にしかイキがれないんだもんね?」
「クソガキが!!いいぜ、なら殺してやるからな!そろそろ始めるぞ!」
簡単に乗せられる。冷静になる前に始めるために、
「わかった、あ、審判は要らないでしょ?合図はお姉さんお願いね?僕は素手で相手してあげるよ。」
「ハッ、舐めるなよ、クソガキ!!さっさと始めろ!」
「わかりました。……では始め!」
開始の合図とともにルーカスが突っ込んで両腕でロングソードを振り下ろしてくる。ダンジョンのモンスターに比べるとゆっくりなため、少し考える。
コイツ初めから殺すかだったね。なら容赦はいらないよね?さてどう壊そうかな?あ、そうだ!
わざと攻撃を受けると悲鳴が上がる。ガキンと言う音が修練場に響く。
「へっ、あっさり死にやがって口程にもないな。じゃあオー「誰が死んだって?」は?」
土煙が消え、少年の姿が見えると、傷一つない。それどころか、新しい玩具を見つけた子供のような笑顔浮かべている。そんな姿を見てルーカスが唾を飲み込む。
「どういうことだ?何で生きてやがる!」
「じゃあこっちの番だね!」
「答えや「えい!」痛てぇ!あ、あ、」
「こんなのも避けられないの?」
ルーカスの両腕を掴み引きちぎる。ルーカスの手のひらがルーカスに見えるように持ち替え、目の前で振る。
「これ?なぁんだ?正解はね?君の腕だよ?」
「腕が、腕がない……か、返してくれ、俺の、腕を」
痛い痛いと喋りながら懇願してくる。周りもまさかの状況で、止める人が居ない。もしかしたら、恐怖のあまり声が出せないのかもしれない。
「返してあげるよ?ほら」
両腕をルーカスに投げつける前に手でぐちゃぐちゃに握り潰す。ルーカスは二の腕の半分まで引きちぎれており、その腕で自分のぐちゃぐちゃになった腕を泣きながら、抱き抱えようとしている。
「ああ、おれのうでだ、どうしてはなれてるんだ?あははゆめだ。これはゆめなんだ。」
「夢だったら良かったね?ねぇ?まだまだ遊べるでしょ?早く立ってよ。」
まさかの発言に周りもドン引く。ルーカスが口を開き負けを宣言しようとする。
「お、おれのま、いぎぃ!いたい、いたい!」
ルーカスの、片足を何度も踏み潰しながら、諭すように優しく話す。
「うん?敗北宣言はさせないよ?だから殺してもいいってルールを付けたんだよ?次敗北宣言したら残ってる足も折るからね?」
ルーカスが過呼吸になりながら、焦点の合わない絶望の色をした瞳で俺を見る。野次馬を見ると吐きそうな人がいたり、体が震えている人もいる。
何が怖いんだろうね?怖いなら見なきゃいいのにね?あ、受付の人吐いて自分で自分を抱いて泣いてるよ。トラウマになっちゃったね!
「ねぇ?楽に死にたい?それともまだ苦しんで死にたい?」
「いや、しにたくない。……なんでおれがこんなめに……」
「君こういう事するの初めてじゃないよね?何人犠牲にしたのかな?というか、選ばないなら僕が選んじゃうよ?」
「そこまでだ!!この決闘フレデリックの勝利とする!」
声の聞こえた方を見ると泣いている受付嬢と、顔が青い、ギルドマスターが立っている。
へぇ~、あの状況で動けたの凄いね。
「何で?この戦いは審判も居ないし、負けを認めて宣言しないと終われないはずだよ?それに殺してもいいってルールを追加した際に向こうは拒否しなかったよ?」
「ああ、君の言う通りだ。だが今は私の顔を立ててもらえないか?変わりに登録料を免除する。」
「えー、他にも何かない?」
「はぁ、わかった。その辺りはここではなくて私の部屋で話そう。」
「ん〜、ならいいよ。あ、ちょっと待ってね。」
「?ああ、何をするんだ?」
ルーカスに近づくと、ルーカスから
「ヒッ、やめて、こないで、しにたくない、」
ブツブツ話しているが無視して野次馬たちにも聞こえる声で話す。
「次に同じことしたのを聞いたら僕が君を殺すから。そう言う行動する人が嫌いなんだよね。わかった?」
首を縦にブンブン振るルーカス。周りに居た野次馬もやらなくて良かっただの、怖かっただの口々に話している。流石にギルドマスターを持たせるのはマズイと思い、直ぐに向かう。
「釘を刺すにしてもやり方が有るだろ。」
「あはは、ごめんなさい。ただ悪いのはルーカスだよ?」
「それはわかってる。だがあそこまで痛めつけては生活も出来ん。欠損も治るポーションか教会で治してもらっても奴隷落ちだな。」
「なんで?奴隷に?」
「金が払えないからな。冒険者の収入は運に左右される。だから定額で払っても払えなくなったりして直ぐに奴隷にされちまう。」
「まぁ、生きてるだけでマシだよ。」
「それはそうだな。さて、入り給え。」
ギルドマスターの執務室に案内され、目の前に飲み物とクッキーが置かれ、話を詰め始める。
1つ目の条件は、講習の無料。これはスキルの入手関係のも無料になった。
2つ目が冒険者ランクCからのスタート。ふざけてランク高いところから始めたいと伝えたら、ギルドマスターの押しが強く変えることができなかった。
3つ目は、ギルドの強制依頼の拒否。最後のはぱっと見の年齢も有り、割と簡単に通ったが5年後からは強制になった。
こんなもんかな?まぁ割と無難な感じになったから良いかな?
「さて、こんな感じで構わないな?これ以上は厳しくてな。」
「うん。大丈夫だよ!あと、ギルドカードと獲物が入る袋が欲しいかな?あと、武器も。」
「ギルドカードはもう少し待ってくれ。作るのに時間がかかるからな。武器は初心者用の武器を貸し出すから安心してくれ。」
「うん、わかった」
その時ノックの音が聞こえ、
「アーシャです。ギルドカードが出来たのでお持ちしました。」
「そうか、ちょうどいい入れ」
「失礼します。」
中に受付嬢が入ってくる。わざと後ろを向いて顔を合わせると先ほどの惨状を思い出したのかピシッと一瞬固まる。
へぇ~、アーシャって言うんだ。受付嬢としては優秀なんだろうけど、決闘を邪魔したのは忘れないからね。
ジトッとした恨みのこもった目で見ていると受付嬢は涙を浮かべる。
「こらこら、虐めるなっての。さっきの条件で納得してるんだから、許してやってくれ。」
「あはは、ごめんね、アーシャさん。決闘の件で少しだけいたずらしたくなっちゃったんだ。」
「い、いえ、大丈夫です。それよりも説明してもよろしいでしょうか。」
手に持った銅板で出来たギルドカードを手渡しして、説明を始める。
「まずは、ランクと依頼について説明しますね。ランクは下からG、H、F、E、D、C、B、A、Sになります。これとは別にランクに+が付く場合が有りますが後で説明します。先にランクが上がる条件を説明しますね。自分のギルドカードのランクよりランクの高いモンスターを討伐し、依頼の達成数が基準に満たすことでランクが上がります。」
カードのランクを指差しながら、説明してくれる。
「そして、ランクが高くなると、国から国への移動の際の税金が無くなります。また、Aランクになるとの貴族として扱われます。爵位はないですが、男爵程度と同じ扱いを受けれます。」
「そうなんだ、あと気になってたんだけど、どれくらいのランクで国に入る際の税金が無くなるの?」
「ランクBからだな。まぁ直ぐにアンタなら上がるだろ。すまん。アーシャランクCからって約束したから、上げてくれ。」
ギルドマスターが、カードに書いてあるランクを見ながらアーシャに頼む。
「わかりました。ですが先に説明させていただきますね。+が付くランクは代用できない能力を持つ方に贈られます。例えば看破や、浄化はその代用することが出来ないため、ランクに+が付きます。」
「なるほど。だいたい理解できたよ。後はギルドカードが使えなくなるとかある?」
「ええ、ギルドに所属している間はランクごとに失効する期間が違います。Cランクは半年間モンスターをギルドに売ったり依頼を受けるかのどちらかをしなければ失効してしまいます。失効した場合は1からやり直しになります。」
説明を終えるとギルドカードを持って下に向かう。暇になったので目の前のクッキーをひたすらサクサクする。久しぶりの甘みを楽しむ。
サクサク、サクサク。サクサク、サクサク。
「……」
「サクサク、サクサク。」
執務室にクッキーを食べる音が響く。ギルドマスターが何か言いたそうだが、無視をして食べ続けると皿のクッキーが無くなる。
「おかわり有る?」
「あのなぁ、食べきるなよ……しかもおかわりって……まぁ話を聞いてくれたら出してやる。」
「んーわかった。」
「まずはオークだな。あれ首が切れていたし内臓も出されていたが何も持っていない状態でどうやった?」
「ん~、嘘だっていわれても仕方ないけど魔法使えるんだよね僕。」
その発言を聞いて首を傾げる。頭をかきながら質問してくる。
「獣人だよな?使えたとして、属性は?」
「うん。獣人だよ?属性は罠だよ。」
「罠?なんだそりゃ。」
「試してみる?命に別条はないから大丈夫だよ。」
「ふむ、やってくれ。」
指示が出たのでギルドマスターの足元に罠を設置する。
「こっちに来れる?」
「ああ、わかった。ってうわぁ!?」
ギルドマスターが立ち上がるとくくり罠で逆さに吊るされ驚きのあまり叫ぶ。
「うお?!なんだこれ?!」
「これが罠魔法だよ。これの中にワイヤー、つまり切れる罠があるんだ。」
罠を解除しながら説明する。逆さの状態で解除する。逆さ吊りで解除したがギルドマスターは足から着地する。
「なるほど。これなら納得だ。」
「こんな感じで狩ったんだよ。」
「でも何故獣人で魔法が使えるんだ?」
いい感じの嘘がないか少し悩む。
どうしようかな?うーん、あ!いいこと思いついた!
「ユニーク種ってわかる?」
「ああ、少し前にこのあたりに出て騒ぎになったんだ。」
「僕ユニーク種なんだ。」
「はぁ!?どうゆう事だ。ふざけているのか?あれは鼠の、モンスターであって獣人ではないはずだ!」
「違うって、人類の、獣人のユニーク種なんだよ。」
一瞬ギルドマスターが本気で焦るが、人類のユニーク種と聞いて疑問が出来る。
「人類にユニーク種がいるのか?」
「目の前に居るでしょ?魔法に使える獣人がね。」
「それもそうだな。」
心を落ち着かせるためにギルドマスターが紅茶を飲む。
しばらくの間、沈黙が流れる。その沈黙をノックの音が破る。
「アーシャです。先ほど怒鳴り声が聞こえましたが……大丈夫ですか?」
「……ああ、大丈夫だ。少し驚き過ぎてな……ギルドカードは出来たか?」
「はい。出来ました。中に入ってもよろしいですか?」
「入ってくれ。」
グッタリしたギルドマスターが、入るように促す。
中に入ると直ぐにギルドカードを渡しながら、
「ここに紐を通せる穴がありますので、紐を通して首にかけることをお勧めします。あとこちらハイオークの代金金貨3枚になります。」
「アーシャさんありがとう!」
カードと金貨が入った小さな袋を受け取り外に出ていく。扉の前で振り返り
「ごちそうさま!また来るね!」
ギルドマスターが何か言う前に執務室を出て階段を降りていく。ギルドにある人々が僕の姿を見つけると、目をそらす。
あ~やり過ぎちゃったかな?まぁ面倒な人からも声をかけられなくなったって考えればいいかな?




