表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乱数世界の魔法使い  作者: 秋月真鳥
黒髪の魔法医
1/77

魔法医と魔獣  序

「殺してしまった方が、ずっと楽だと思うんだけど」

「それは、彼のため?それとも、君のため?」


────────────────────


 昔々……というほどでもない、少し前のこと。

 大陸の空を飛ぶ浮城、『星の舟』に一人の美しく若い魔法使いの青年がいた。彼は、魔法使いの学院である『星の舟』の中でも非常に優秀な成績を修め、卒業せずに研究者として『星の舟』にずっと残ることが決まっていた。

 その美しい青年に、一人の魔女が恋をした。

 魔女は青年に「地上に降りて共に暮らそう。」と請うた。

 けれど青年はその願いを無下に断わった。

 魔女は嘆き悲しみ、そして、青年に呪いをかけた。


 その美しい顔が醜く崩れ落ちるように。


 青年はその呪いを跳ね返そうとしたが、上手くいかず、結局青年の美しい顔は右半分が醜く崩れてしまった。

 魔女はその様を見て満足げに高笑いして、浮城から飛び降りて命を断った。

 青年はそれから、仮面をつけて生きるようになった。


 呪いを解く方法を探すうちに、いつしか青年は年老いてきた。彼はついに呪いを解くことを諦めて、地上に降り、色々な村々を見回った。

 そして、彼は魔法使いになる素質のある一人の少女と出会った。

 彼は少女に問いかけた。

「私が恐ろしいか?」

 少女は首を傾げた。

 彼は仮面をとって醜い顔を晒して、再び少女に問いかけた。


「私が恐ろしいか?」


 少女は目を瞬かせて彼の醜い右半分の顔に触れ、首を傾げた。

「痛い?」

「痛くはない。昔のことだから」

 彼は答え、少女の手を掴んだ。


「私と共に来れば、家族には当分楽に暮らせるだけの金をやろう。お前は、私の花嫁になるのだ。」


 彼の物言いに少女はしばらく考えた後、ゆっくりと頷いた。

 彼は少女に、ゼルランディアという名前をつけた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ