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転生したけど俺だけゲームが違う。  作者: ヤマモトユウスケ@#壊れた地球の歩き方 発売中!
一章

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第21話 返信おじさん

しばらくは一日三回更新する予定です。

読み飛ばしにご注意ください。


 翌朝、俺たちはまたしても、食堂で茹でたトウモロコシを食っていた。

 ……トウモロコシ以外の食材の幅を広げたいなァ。

 肉や魚やラーメンも食いたいけど、ポイント交換できないとなると、トウモロコシ一択になってしまう。

 現状、自給自足可能なものは、水、回復ポーション、トウモロコシくらい。

 野草もあるが、やはり動物性のたんぱく質が欲しい。

 狩りや釣りにも挑戦してみるべきかもしれないが……それはおいおい。

 まずは昨夜の件の振り返りが必要だ。


「雇った他人に手を出させて、テシウスくんだけ逃げた……ってのは、なんだか奇妙に思えるねェ」

〈相棒が(ファビ)を着ていないタイミングを狙いたかったんでしょ。それなら、剣士である自分より、暗殺者に頼んだほうがいいと考えたんじゃない?〉

「様子見のつもりでもあったのでしょう。暗殺者がケンゾーさんの捕獲に成功すればそれでよし、失敗しても『闇討ちは困難だ』という結論は得られるわけですから」


 ラティーシャちゃんはハムスターみたいにトウモロコシにかじりついている。

 癒される絵だねェ。


「うまー。……つまりですね、『鎧を着ていないタイミングを狙っても、対応されるかどうか』の確認をしたかったのではないかと。ボクが思うに、テシウスは《《悪い意味で本気》》なのです」

「悪い意味で本気?」

「歪んではいますが、テシウスの行動原理は『敗者は勝者に従う』という、非常に冒険者らしいものなのです。強さを認めた相手には決闘を望み、それが女性であれば奴隷にして娶る――暗殺者を雇うのは、彼の行動原理から外れた行動なのです」


 勝ったほうが正しいなんて、蛮族の風習かよ……と思ったが、冒険者とはそういう生き物らしい。

 やっぱり、荒くれ連中みたいな感じなんだろう。


〈普段やらない行為をやるくらい、本気で相棒を狙ってるってことか。……ラティーシャ、昨日、奴隷たちがいないことを気にしていたね。領主に人質に取られている可能性って、ある?〉

「ケンゾーさんを資源扱いしようと企むような領主ですから、その程度はためらわないでしょう。……企む、というか、単なる暴走なのですが。理解しかねるのです」

「いやいや、ラティーシャちゃん。人間ってねェ、お金がなくなると理解しかねる行動しか、しなくなるものなんだよ」


 借金がかさめばかさむほど、借金返済のために競馬に入れ込んだりする。

 ……俺にそういう経験はないが、住んでいたボロアパートで、そういう限界に達してしまった人たちを何度も見た。

 借金取りに玄関から引きずり出され、どこかへ連れていかれるおじさんとかね。

 ともあれ。


「テシウスくん、人質を取られて脅されているんだとしたら、かわいそうだねェ」

「かわいそうであっても、本気で襲ってくる相手に手加減はできないのです」

〈そもそも、ラティーシャをかどわかすために、ファオネムと手を組んだのはテシウス自信でしょ。自業自得だよ〉

「う、うん……そうなんだけどね……?」


 ふたりとも、ドライだ。

 このドライさが、俺には必要なんだろうなァ……。

 しかし、要するに『領主サイドは本気で俺を奴隷にしようとしている』というわけだ。冗談であってほしかった。


「……領主と協力してティリクの森を開拓するっていうのは、もう無理かねェ」

「向こうが『奴隷にしてこき使ってやる!』という態度なのですから、協力どころじゃないのです。……冒険者ギルドに開拓依頼を仲介してもらうつもりだったのですが、必要なのは開拓の仲介ではなく、和平交渉の仲介かもしれないのですよ」

「おじさんとしては、それがいいな」


 話し合いで解決できるなら、それに越したことはない。

 冒険者ギルドに期待である。


 食後、日課のランニングと素振りをこなし、ポーション片手に一息ついていると、城門からドンドンと大きな音がした。


「……また暗殺かな?」

〈暗殺なら、わざわざ扉叩かないでしょ〉

「ボク、見てくるのです」


 ラティーシャちゃんが城門まで駆けて行き、小窓から外を確認し、すぐに城門脇のレバーで門を開けた。

 ラティーシャちゃんに先導されてやってきたのは、背の高い、疲れた顔の女性だった。

 ……身長もすごいが、それ以上にプロポーションに目が行く。

 豊満でメリハリのある女性を、ダイナマイトボディなんて言い方で表現した時代もあったが――おじさんから見ても古い言葉だ――まさにそれ。

 青色の法衣っぽい服装を、内側からこれでもかと押し上げて、胸とおしりが大爆発している。すげー。

 ……いてっ。


「ケンゾーさん、見すぎなのです」


 ラティーシャちゃんが背伸びをして、俺の頬をつまんでいた。

 いや、失敬。たしかに、女性に対して失礼だった。


「ごめんなさい。申し訳ない、美人だったので思わず見とれてしまいました」

「いいさ。慣れてる。武闘僧(モンク)のカラダは、神に捧げる訓練のたまものだからね。見られすぎるくらいで、ちょうどいい」

「……ふんだ。ボクのは全然見ないくせに、大人な女性にはデレデレするのですね」


 唇を尖らせて、そう言われても……ラティーシャちゃんは爆発の危険性が一切ない超安全対爆シェルターボディだし、下手すりゃ娘くらいの年齢の相手には、ねえ?


〈ファビのも全然見ないくせに〉


 鎧のどこを見ればいいんだよ。


「まあ、いいのです。ボクは成長期なので。……ケンゾーさん、こちらは冒険者ギルド、グランバル領支部の支部長なのです」

「支部長のアルスラだ。よろしくな」

「あ、これはどうもご丁寧に。ケンゾー・イザヨイと申します」


 しまった。こういうときに渡す名刺がない。

 名刺もクラフトできるようにしておかなければなるまい。

 こんな場所では悪いから、とアルスラさんを食堂へ招く。

 グラスに水を入れて渡すと、彼女は勢いよく飲み乾して、一息ついた。


「さすがに、ティリクの森は緊張するねェ。これで、まだ鱗主がうろついていたらと思うと、ぞっとするよ」

「手紙のお返事なら、わざわざ支部長が来なくても良かったのでは……」

「鱗主がいないとはいえ、辺境だからね。ティリクの森を抜けられるのは、アタシくらいだ。返事を書くのもアタシだし、だったら直接話したほうが楽だろう? ケンゾー、アンタのことも見てみたかったしね」


 ウインクしながら言うものだから、おじさん年甲斐もなくドキッとした。

 二十代後半から三十代くらいまでの女性に弱いんだよなァ……。

 ラティーシャちゃんのジト目が突き刺さったので、慌てて「ごほん」と咳を打つ。


「で、アルスラさん。お話というのは、この城の進退について、ですよね?」

「そうだ。冒険者ギルド支部長として、まずは結論を伝える」


 す、とアルスラさんが居住まいを正した。


「ひとつ、ファオネム・グランバルはアタシら冒険者ギルドの仲介を断り、ケンゾーを『ティリクの森から生まれた資源』として確保する権利があると主張した」


 うんうん。そこまでは、暗殺者さんに聞いた。

 問題は、そこから。

 おじさんの希望としては、冒険者ギルドに領主ファオネム・グランバル氏をうまくとりなしてもらって、おじさんの人権を確保しつつ、穏便に済ましてもらいたいのだが――。


「ふたつ。冒険者ギルドは、この主張に対し――一切の、介入ができなくなった。アタシらはアンタを手助けはできない。もちろん、ギルド所属の冒険者であるラティーシャも回収させてもらう」


 ――えっ?



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