ゴブリンがオーガと戦いました
僕、マビト クウキはクラスメイト達と共に突然異世界に飛ばされ勇者として選ばれるも僕だけが勇者となる人数が多すぎるという理由だけで森に捨てられてしまう
だが僕は捨てられる前に与えられたスキル『魔物言語通訳』によって僕を食べるために現れたゴブリン達と会話し彼らの集落に連れていかれる。
そこではゴブリン達がオーガに助けてもらうために貢ぎ物を渡していたのだがオーガはゴブリン達が自分の言葉を理解できないことをいいことに貢ぎ物を自分一人のものにしようと企んでいると僕を連れてきたゴブリンにそう伝えた瞬間、怒ったゴブリンはオーガに向かっていくのだった。
「待ちやがれこの野郎!」
僕を集落に連れてきたゴブリンがオーガに向かって叫ぶと
「あんっ、ゴブリン風情が俺に何か用か?」
オーガがゴブリンに振り向いた瞬間
「みんな、よく聞け!こいつはオーガ達に貢ぎ物を持っていってなんかいない!自分一人だけで横取りする気だ!」
ゴブリンが皆に聞こえるようそう叫ぶと
「何だって!?」
「じゃあ、俺達はオーガに助けてもらえないのか!?」
ざわざわっ!
ゴブリンの言葉を聞いて集落にいたゴブリン達が騒ぐなか
「おいお前、何で俺の言葉がわかる?」
オーガがゴブリンにもわかるようにゴブリン語で会話してきた。
「それは┅その┅」
オーガの質問に対して僕を拾ってきたゴブリンは返事が返せなかった。
ここで僕から聞いたなんて言えば自分も人間を連れてきた罰を受けてしまうだろうし僕もどうなるかわからないからだろう
「ほら見ろ!何も言えやしない!こいつは嘘をついているんだ」
オーガはゴブリン達に聞こえるようにそう言った。
すると
「確かにな、オーガは誇り高い種族だと聞いたしな」
「ここで嘘をつく理由がわからない」
ざわざわっ!
ゴブリン達はオーガは嘘をついていないと感じ始めた。
なかには逆に僕を連れてきたゴブリンが嘘をついていると言っているゴブリンまでいるくらいだ。
このままでは不味いな!?
その時
「だが俺は誇り高きオーガの一族。この場でお前が許してもらえる方法はあるから教えてやる」
「な┅何すりゃいいんだよ」
するとオーガはある提案をしてきた。
それは
「俺と戦え!勝てば今回のことは他のオーガには内緒にしてやる」
えぇっ!?
あんなゴブリンの3倍近く大きな体を持つオーガと戦ってゴブリンが勝てるわけがない!?
だけど戦わなければ嘘つき呼ばわりされ、更にオーガとの同盟を崩壊されると思い
「わかった!やってやるよ」
僕を連れてきたゴブリンは勝負を受けた。
「ゴブリンのくせに度胸だけはある奴だな!その度胸だけは認めてやる。ついてきな」
オーガはゴブリンを広い場所に連れていくと
「お前が勝てば今回のことは不問にしてやる。ただし、負ければこの事を親分に話して今後一切オーガはゴブリンに手を貸さないようにしてやるから覚悟しろよな」
オーガのこの言葉に
「そんなことになったら俺達はおしまいだ!?」
「ゴブリンがオーガに勝てるわけがない!?今のうちに集落を出ちまうか」
弱肉強食というこの世界において強さが最下層であるゴブリンがオーガに助けを求めなければ絶滅してしまう恐れがある
そうならないためにはオーガと同盟を結ばなければならないのだ。
「おいお前ら、戦いたければ何匹だろうが相手をしてやるから舞台に来な!ゴブリンごときにそんな度胸があればの話だがな」
オーガの言葉を聞いて挑もうとするゴブリンはいなかった。
「俺一人で相手してやるって言ってるだろうが!」
バッ!
僕を連れてきたゴブリンはオーガ目掛けて拳を繰り出すが
「ぐふっ!?」
「はぁい、残念だったな」
ゴブリンとオーガでは腕の長さが違いすぎ、逆にカウンターを食らってしまった。
「おらおら!さっきの威勢はどうした!」
その後もオーガはゴブリンを痛め付けていく
このままでは危ない!?
僕がそう思ったその時!
「えっ?」
僕を縛っていた縄が解かれた。
「おい、早く逃げろ!?」
縄を解いたのは僕を連れてきたゴブリンと一緒にいた二人のゴブリンだった。
「お前がいるとあいつの立場が更に悪くなるからな」
「逃がしてやるからさっさと集落から出てけ!」
確かに僕の存在がバレてしまえば僕を連れてきたゴブリンの立場が更に悪くなることは間違いない
それに僕が見つかればゴブリンに食べられてしまうかもしれない
そう思えばここで逃げるのは得策だろう
そう感じた僕は隠れて逃げようとするのだが
「がっ!?」
「おらおらどうした!威勢がいいのは口だけか!」
オーガに殴られるゴブリンの苦しむ声が聞こえてきた。
このまま逃げれば僕は助かるかもしれない
でもあのゴブリンは僕の存在を言おうとしなかった。
僕を見捨てたクラスメイト達とは違う!
そう思った僕の体は自然に
「や┅やめろ!」
オーガの方へ向けられていた。