プロローグ
言っていいのか分からないが、俺は他の奴と比べて勉強、性格が底辺だった。
勉強何て出来る筈も無く、根性も無ければ勇ましくも無い。
ただあるのは物凄い運動神経だけだ。
俺は運動神経だけでいいと思っていた。
だが現実はそんなに甘くなく、結局は勉強が出来なければ将来楽出来ず、毎日重労働して安い金を貰うだけの貧乏生活が待っている。
運動神経で食っていけるのは本当に才能があるプロの選手だけなのだと、俺はやっと気付いたのだ。
運動神経だけを頼りにやって居た俺にとって、この事実はあまりにも酷すぎた。
その日から俺は将来の見えぬ恐怖と怒りと言った感情が心を渦巻くようになってしまった。
『もう、どうでもいいや』
いつしかこう思ってしまったんだ。
もういっそ馬鹿になって楽になってしまおう、と。
それから授業は友達と喋り、聞かず、また寝ていたりもするようになった。
教師から何度叱られ、注意されようがもう全て投げやりになってしまった俺にはどれも響かぬ言葉だらけ。
友達にも流され、黒く染まった俺はもう親からも心配されなくなり、親は弟はかり期待するようになった。
そんな日々に、ただ普段通りじゃ無い日があった。
ピビピピピ、ピピピピピピ……。
今日は何故か頭が重く、身体が思うように動かない。
俺、風邪にでもかかってしまったのか?
にしても目覚まし時計すら止めれない位に身体は言う事を聞かなかった。
朝飯すら食べに来ない俺を心配して親が来ればいいのだが、生憎と俺は親にもう捨てられた、そんな奴だ。
もうかれこれ数十分は経った筈だが、誰も心配して来る者は居ない。
……家族って何なんだ。
そんな怒りを感じながらも俺はズキズキと痛む頭を手で押さえた。
腹痛も始まり、鈍い痛みが腹を走り回る。
視界が霞み始め、段々と物が見えなくなってきた。
待て、これはマジでヤバイ。
熱でまともに頭を使えない今でさえ、そう思う程だ。
だが動ける訳も無く、俺の視界は黒く染まり始め……。
俺は意識を失った。