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オルとアル~とあるお茶会にて~

 良く晴れた日差しが穏やかに照りつける初夏のとある日。庭園でのお茶会にて。


 「ねえ。聞いてもいいかな」


 アンが少し冷めた茶器を可愛らしく両手で挟み口元に持ってきた状態で、上目遣いにファルに尋ねる。


 「何でも聞いてくれ」


 少しお腹が出てきたフォルが、カフェインの入っていない専用のお茶を優雅に飲みながら蠱惑的な笑みで快く了承する。そのお腹には新しい命が宿っている。


 「なぜ、フォルとファルはオルとアルって呼び合っているの?フォルに聞いてもはぐらかされるの」


 勿論同席していたフォルが、飲みかけのお茶を「ぶふぉっ」と吐き出す。


 「汚いなぁ」


 それをさも可笑しそうに笑うファルと、はぐらかしている本人の前で暴露するアンの視線がささり、むせ返るフォル。


 「アンもフォルの前でよく聞いたね」

 「あら、だって内緒で聞くのは不誠実な気がするわ」


 堂々と聞くのは良いんだと、フォルとファル他居合わせた人達の思いは同時に一致した。


 「それでどうなの?」

 「あー、うん」


 ファルは面白そうにチラッとフォルを見る。

 勿論言い淀む気は更々ない。


 「それがよく判らないんだよね。

 昔はファル姉、ファル姉って、後ろをちょこちょこ付いてきて可愛かったのに。ある日突然『ファルとフォルだと語感が似ていて嫌だ。今日からアルって呼ぶ』と宣言されてね。その姿もまた、可愛かったものだから『じゃあ私はオルと呼ぼう』ってなったのさ」

 「突然じゃないだろう!?

 私のやる事を必ず追随して、しかも全て私の上をいく結果を出してっ。

 友人まで、何時の間にか私より仲良くなっているしっ。

 同じ女なのに男として生活していた私よりも男らしいと言われる私の身にもなってと、散々訴えたよね!?」

 「ああ、涙ながらに語るオルは可愛かったな」

 「終いには、名前も似ているし年下だしとファルの付属品みたいな扱いされて!何度ファルって間違えられた事か!」


 それはそれで、仮にも王子に対してどうなんだろうと思う一同であったが、黙殺する。この国ではそんな事もあるだろうと。


 「それじゃあ私もオルって呼んでもいい?」

 「絶体止めて!アルと同じ呼ばれ方は嫌だ!」


 否定されたアンは口も眉もへの字に曲げて悲しむ。


 「二人ばかり特別な愛称で呼び合うなんてづるいわ」

 「っ可愛い!

 嫉妬してくれてたの?!」


 悲痛な顔から一転、溢れんばかりの満面の笑顔に変わるフォル。嫉妬と言われて今更にこれが嫉妬の気持ち?と確認するアン。ニヤニヤ笑いが止まらないファル。


 「それじゃあ、アンだけの呼び名考えてくれたらアン以外には呼ばせないよ!」

 「本当?ええっと、それじゃあね、うんと、うんと、ルト!」


 純真無垢なる輝く笑みで言われたフォルは机に突っ伏して悶える。もう、名前をただのルトに改名してもいいかも、いやでもそれだと特別では無くなるから、やっぱりこのままでなどと考えている事などファルにはお見通しだ。


 「いいね、それじゃあ私にも新しい愛称つけてよ」

 「ダメだダメだ!特別な呼び名は私だけのものだ!」


 悪い笑みで提案するファルを全力で牽制するフォル改めルト。嫉妬に狂って余裕などかけらもない。

 アンはルトに嫉妬された事に感動して悶えている。いっぱいルトと呼ぼうと惚気ているのもファルにはお見通しである。


 「別にいいけど、私のオルっていうのも特別な呼び名だと思うよ。

 あと、特定多数にはフォルだからね」


 呆れた溜息を吐き、突っ込むだけ突っ込むが、きちんと聞いているのか疑わしい。いや、絶対右から左だな。とファルは確信するのだった。


 割と似た者夫婦なのかもしれない。



 お茶会が終わった後、アンがいない場にて。

 

 「言いたくなかったようだけれど、なんで自分から暴露したんだい?」

 「あそこで言わなければ、絶っ対にある事ない事吹き込んでいただろ」

 「いやだなぁ。ある事はともかく嘘は言わないよ?嘘は」


 悪巧みを企んでいる様ないじわるな笑みで返され、自分の判断は間違っていなかったと確信するフォルでした。 

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