1「決意のない執念の旅路」
物事を決めるとき、何らかの理由があることがほとんどだ、人間というものは、自分にとって損なことをしないと言うが、それはつまり、自分が窮地に陥れられようとしているものも、自分がそう望んでいると言うことになりかねない
どちらにしても、何らかの決意というかたちにして
普通人は進むものだが、自分の場合は、ほとんどにおいて、融通が利かず、また、本当に重要なことは、すべからず決められず、逃げてきたのであり
今回の旅にしても、それは、合致しているのであり
始めに、引きこもりを心配されて、四国八十八カ所巡りに、誘われるも、度重なる心配性により
また、そのときの心境的には、そのたびを成功できるかもわからないうちから、成功したときの優越感を
不必要なものと考えており、さらには、風呂に入れないかも知れないまた、他人と旅をする事への恐怖などから、旅立ちの数日前に、逃げてしまうのである
かくして、手元には、旅に必要な、用意だけが残り
引きこもり生活を、より、充実させる装備にしてしまうわけである、それから、一年ほど経ち
何の変化もない人格形成のまま仕事を、経験して
驚くべき失敗を積み重ね、命からがら、冬の仕事が終わろうとしている自分にとある変化が訪れた
まずい、逃げなければ
はたして、その言葉のみが全てとは思わないが
しかし人とは、いや、自分とは、そう言う生き物なのだから仕方がない
かくして、誘ってもらった人に、勇気を、引きこもり人格者の最大限の死ぬほどの勇気を振り絞り
電話をかけたのである