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#七十 吉田松陰(二)

「うげげげげげ。おまえの頭をイーってして松陰先生に脳を捧げてやるのデス」


 後ろに二体の影を従えて、すっかりご満悦の伊藤。小波も御伽創死を構えてはみるが、なかなか狙いが定まらない。


「ぐひひ、どうだどうだ。いくら貴様が優れた配達員でも、この二体を同時には倒せまい」


 御伽創死は紅葉の魂色夜射と違って単発なので、複数の相手には分が悪い。どうやら事前にそれを美妙から聞かされたようで、笑いが止まらない。


 その直後、伊藤の笑い顔が弾け飛ぶ。頭の上半分が飛び散って、小波の足下に目玉が片方落ちた。


「!?」


 驚いて顔を上げれば、片方の影が伊藤の身体を支えて、もう片方が後頭部に手を伸ばした体勢。どうやらこの影たちが、伊藤の頭をイーってした模様。


「げげごげげごご」


 まだ絶命には至らないのか、残された鼻と口から血を出しながら伊藤が声というか音を漏らす。その空いたスペースに、影たちが順番に入りこむ。


「何だよ、どうなるんだよ」


 小波がつぶやく目の前で、伊藤の肉体が変形。グニャグニャと人体が歪む様は粘土細工を思わせる。


 そして完成したのは、伊藤と猿の胴体を混ぜて、山羊の頭を乗せて上から一度潰したような異形の存在。


「博文も愚かな男だ。わしが長州だけ許すとでも思ったか」


 その姿を見て、小波がつぶやく。


「まさか、アンタは……」


 小波の声に、原形を失った伊藤は傲然と答える。うなずきさえしない。


「いかにも。儂こそが吉田松陰である」

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