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#六十一 鹿鳴館(三)

「死にてぇヤツは前に出ろ! 貫通して後ろのヤツも死ぬけどな!」


 魂色夜射を振りかざしながら、紅葉は破壊した門をくぐって鹿鳴館の敷地へ踏みこむ。


 庭園は降り積もった雪で白く染まり、音を吸われたかのように静寂の中。


 それを打ち消す勢いで、館から飛び出てくる異形の大軍。


 腐った餅みたいなもの、蛙をたくさんつなげたようなもの、断頭台ギロチンに目鼻を付けたようなものなど、いちいち討伐状で名前を調べるのも嫌になるような得体の知れないものたちが次から次へと湧いて出る。


 紅葉はためらうことなく、魂色夜射のハンドルを回して片っ端から撃ち砕く。四肢が、頭が、何だかよくわからない部位が次々と弾け飛んで、白い雪を不気味なまだら模様に染め上げる。


「痛え、痛えよお」


「ぎゃああああ」


「ポンジャカヒュー」


 銃声と悲鳴が庭園に轟く。まだ討伐は始まったばかりだ。



   〒



「どうやら始まったみたいだな」


 塀の中から聞こえる騒ぎを耳にして、小波がつぶやいた。


「俺たちも入ろう。紅葉さんが外で暴れて敵を引きつけてる間に、俺たちは中に入りこんで奥で控えてるであろう親玉を叩く」


「うん」


 コガネはうなずいて、軽々と塀の上までよじのぼる。貉なので、こういう動きは苦もなくできる。


「アニキ、掴まって」


「お、おう」


 左手を伸ばして、引っぱり上げてもらう。


「こういうのは普通、俺がする側なんだがな」


「そんなこと言ったって、ケガしてるんだからしょうがないだろ」


「……」


 事実だから反論のしようもない。


「このモヤモヤは、親玉に晴らしてやる」


 塀の上で固く誓う小波だった。

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