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#五十七 明磁異神(一)

 宮城で行われる帝国憲法発布の場で邪悪な神を降臨させる。それが政府の中枢を占める長州勢の狙い、明磁異神だと前島は言う。


「寛永寺に限らず、薩長政府は廃仏毀釈(※四十一)を推し進めて江戸を守護してきた仏教勢力の弱体化をはかった」


「けどそれは、神道の力を強めて国教にするためだろ?」


「それは口実だ」


 小波の反論を、あっさり斬り捨てる前島。


「その証拠に神道は今も国教になっていない。だいたいほんの何年か前まで仏教も神道もほとんどごっちゃにして祀っていたのに、仏教を排斥して神道だけ無傷で済むはずがないだろ」


「……オイラよくわかんねえや」


 コガネが素直な感想を漏らすと、前島は少し考えてから答えた。


「簡単に言うと、悪い連中が悪いことを企んでいるんだ」


「すげえよくわかった!」


「いいのか、それで」


 小波のツッコミを軽やかに受け流して、前島は続ける。


「そこでこの討伐状だ」


 改めて討伐状を示す。これまで倒してきた幼粘鬼たちと似たものや全く違うものなど、種類豊富な異形の者たちが勢ぞろい。


「東京府内に残った邪悪な連中が、同じ場所に集結している。発布の場へ一斉に押しかけて、大量虐殺を行うつもりだ」


「で、それを阻止するために俺たちがそれを阻止するって算段か」


 紅葉の問いにうなずいて、前島は地図の一角を指さす。宮城からも近いその場所は。


「連中の集まっている場所はここ、鹿鳴館ろくめいかんだ」

※四十一 廃仏毀釈…明磁初期に行われた仏教の排斥運動。各地で寺院や仏像が破壊され、僧侶は還俗げんぞくを強制された。

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