表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/76

#五十六 前島密

「おいジジイ、何しに来やがった」


 分室に入ってきた前島に、いきなり小波が因縁をつける。


「はっはっは、巌谷君は減給な」


「ひどい!」


 というか、因縁をつけた小波のほうがひどい。


「まあ冗談はさておき」


 小波の因縁は慣れてるのか、サクッと流して本題に入る前島。


「私がここに来たのは他でもない。これを配達してもらいたい」


 懐から取り出したのは、コガネもこれまでに何度か目にした討伐状。


「私や榎本殿のような、外部から乞われて政府に入った者は、政府の中心に居る薩長勢の動向をずっと見守ってきた。連中のしてきたことを思えば、きっと何か企んでいると思ったからね」


「で、その企みがようやく明らかになったと」


「ああ」


 前島は机の上に、討伐状とは別に持参した地図を広げる。


「すべては戊辰戦争の頃から、周到に準備されていた」


 指さす先には、江戸城(※三十九)改め宮城きゅうじょうがある。


「ここから東北うしとらの方角には、寛永寺があった」


「寛永寺というと、徳川家の菩提寺ぼだいじ(※四十)ですね」


 美妙の言葉に、前島も「その通り」とうなずく。


「寛永寺は上野戦争でその大半が消失した。江戸城の鬼門に位置し、霊的な防衛を果たしてきたこの寺を破壊することで、薩長勢は東京に邪悪な勢力を呼び集めたのだ」


「それがこれまでに配達してきたヤツらってことか」


「うむ」


 捌胃婆が黒田清隆に敵対する者を殺してたことは、コガネも当の捌胃婆から聞いた。自分たちの権力を維持するために、そうした勢力を利用するというのはあり得る話だ。


 なんて思ったら、そんなに単純な話でもなかった模様。


「大政奉還から二十年近く、東京に蔓延した邪悪な力は、帝国憲法発布の場で一気に解放される。宮城に集められた多くの列席者を生贄いけにえにして、邪悪な神を降臨させる。それが薩長、いや長州勢の真の狙いだ」


「邪悪な神……」


「それがヤツらの企む真の革命、明磁異神めいじいしんだ」

※三十九 江戸城…徳川幕府の中心となった城。大政奉還の後に開城し、明磁二十一年に宮城と改称された。

※四十 菩提寺…一族の墓がある寺。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ