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#四十三 昔語り(二)

「俺が配達員になった理由?」


「うん」


 うなずくコガネ。小波は少し考えて、重々しく口を開いた。


「金、だな」


「……」


 露骨にドン引きするコガネに、すぐさま小波が反論。


「いや、大事なんだぞ金を稼ぐのって。おまえだって知ってるだろ?」


「そりゃまあ、そうだけど……」


 コガネもつい先日まで、靴磨きで満足に飯も食えない生活をしてたから、稼ぐことの大変さは身にしみてわかってる。


「けどもうちょっとさあ、何かあってもいいのに」


「そんな都合よく生きがいみたいなもんが見つかるほど、世の中は便利にできてねえよ。俺だって大変だったんだからな」


「大変って、何が?」


 コガネが見る限り、とても小波が苦労をしてきたとは思えない。さっきも医者の家系って言ってたし。


「素直に親の言うことを聞いて医者を目指してたらよかったんだろうが、学校を辞めて勘当同然で家を出たからな。紅葉さんがこの仕事に誘ってくれなかったら、野垂れ死んでたかもしれん」


「へえ、そんなことがあったんだ」


 小波の意外な苦労を知って、驚きの声を漏らすコガネ。普段からふざけたことしか言わないから、そんな過去があったなんて知らなかった。


「けど、どうして学校辞めたりしたんだ? 金が目当てなら、そのまま医者になればよかったのに」


「どうしても、医学よりやりたいことがあったんだよ」


「やりたいこと?」


 さらに追及すると、小波は恥ずかしそうに顔をそむける。


「……」


 火鉢の上で鉄瓶が湯気を吐く。


 冬の夜はまだまだ長い。

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