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#三十七 郵便局分室再び

「――というワケで、それからコガネが口きいてくれないんですけど、何が悪かったんでしょう」


「おまえ馬鹿だろ」


 翌日の分室。


 消印を押した討伐状を提出するついでにコガネの件で相談してきた小波を、紅葉はばっさり切り捨てた。


 当のコガネは、下宿探しのためにシズ子と外出中。しばらくは戻らない予定だ。


「とにかくコガネちゃんには、土下座でも切腹でも何でもして許してもらえ。おまえはひとりで配達するより、あの子と組んだほうが絶対にいい」


「腹切ったら死にますよ」


 断言する紅葉に、小波は不満そうに口をとがらせる。


「それに、裸を見たのだって不可抗力ですし。それをあんなに怒らなくても」


「そこじゃねえよ、あの子が怒ってるのは」


 即答する紅葉。


「おまえが心配するなって言ったとき、あの子はおまえが責任取ってくれるのを期待してたんだよ」


「そういうもんですか」


「そういうもんなんだよ」


 うなずく紅葉。小波と二、三歳しか違わないはずなのに、男女の機微にずいぶん詳しい。


 あるいは、小波がうといだけなのか。


「でも、責任って何すりゃいいんですか」


「決まってるじゃねえか。おまえがもらってやればいいんだよ」


「何をです」


「コガネちゃんだよ」


 本気でわかってない様子の小波に、紅葉は呆れる。


「最初にあの子と話したとき、俺はすぐに気付いたぜ。あっ、こいつ小波に惚れてやがるなって」


「惚れて……」


 全く頭になかったことを言われて、呆然とする小波。


「まあ、今すぐ祝言挙げろってワケじゃねえから。あの子だってまだ小さいし」


「俺は小さいほうがいいんですけど」


「黙れ変態」

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