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#三十四 暴走機関車(一)

 破壊した車輪の代わりに大量の足を生やした宙宙列車と、プラットフォーム上で対峙する小波。


 先に動いたのは、やはり列車。


「ぼしゅうううん」


 もう何が何だかわからない声をあげて、小刻みに動き回る列車。


 車輪が足になったからなのか、横方向への動きが格段に素早くなった。


「くそっ、かえって狙いにくくなりやがった」


 御伽創死を手に、小波が毒づく。狙いが定まらない様子で、構えては下ろしてを何度も繰り返す。


 そこへ列車が突進する。と見せかけて、急に角度を変えてコガネに向かった。


「うわあ!」


 轢かれそうになったコガネ、貉の姿に戻ってギリギリのところで回避。


「大丈夫か、コガネ!」


 コガネは答える代わりに、無事だと示すように辺りを駆け回る。


 列車以上に小回りのきく動きで右に左に翻弄し、機関車の中に飛び乗った。


「べきゃきゃきゃ」


 車内へ乗りこまれたのに気付いた列車、前後左右に動いて振り落とそうとするも、コガネは再び人間に化けて抵抗する。


「くっそー、どこかに停めるやつがあるはずなのに」


 停止桿ブレーキを探して、手当たり次第にあっちこっちいじり倒す。


「れけぺっぷみょほおおお」


 さらに異常性を増した奇声を発しながら、顔を歪めたり汽笛を鳴らしたり扉を無意味にパカパカ開閉させたり。


 それを傍から見る小波には意味がわからない。


「どうした、何が起きてるんだ」


 問いかけてみたところで、列車自身にもわかるはずがない。


 ただひとつだけ確かなのは、自分の中に入りこんで好き勝手するコガネへの怒り。


 その怒りは、足の届かないコガネ本人ではなく、目の前に居る小波へ向けられた。


「ぴゃぎょっちゃああ」


 列車が突進を再開する。

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