#三十三 新橋駅(四)
プラットフォームの上で、対峙する宙宙列車と小波。
コガネは少し離れた位置で、邪魔にならないように様子を窺う。
「ぼおおおおお」
先に動いたのは列車。銃口を避けて左右に方向転換しながら、爬虫類めいたヌルヌルした動きで小波に迫る。
小波は冷静に動きを見て、突進をかわしながら引き金を引いた。
だんっ。
銃弾が当たったのは、先頭の車輪。
「ぼおおおおお」
車輪が砕け散って、苦痛のあまり悲鳴をあげる列車。
そして均衡を失った車両は斜めに傾き、そのまま動きを止めた。
「御伽創死――非情停至だ」
列車は泣き叫びながら、車輪を空回りさせる。
「さすがアニキ、これで簡単にとどめを刺せる!」
「まあな、俺が本気を出したらこんなやつ楽勝だよ」
そんな会話が聞こえたのか、列車は顔から脂汗を流して、これまでと違う声を発する。
「ぎょぎゅいいいいい」
めりょ。ばきょきょ。
撃たれた車輪のあった場所から、いきなり何本かの足が生えてきた。
さらに他の車輪も次々に吹き飛んで、車両全体が足によって支えられる。
「さらに気持ち悪くなった!」
足は数も形も不揃いで、色々な生物から足だけ集めて適当に並べたようなデタラメぶり。
その足をうじゃうじゃぐじゃぐじゃと動かして、列車は再び小波たちに向かい合う。
「げにょおおおおん」
声まで気持ち悪さが大幅に増して、もはや機関車の原型さえほとんどない。
「アニキ、早く本気出して! 楽勝なんだろ?」
「今出したばっかだから、すぐには無理!」
どんな規則だ。




