表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/76

#二十九 尾崎紅葉(二)

「ただいまー」


 シズ子が買い出しから帰ってくる。


 どうして手ぶらなのかとコガネが思った矢先。


「ぐ……」


 荷物の塊が、シズ子の後ろから入ってきた。


 いや、よく見たら小波だ。両腕と背中、首にまでびっしり紙袋や風呂敷包みが装着されて、真冬だというのに汗だく。


「少しは……持ってくださいよ……」


「何を言っているの。男の人の存在価値なんて、荷物を持つのと高いところのものを取るぐらいじゃない」


「それはさすがに言いすぎなんじゃ……」


 同じ女性のコガネでも、ツッコむしかない。


「あら、室長」


 ここでシズ子が紅葉の存在に気付いた。


「おう、もらってきたぜ」


 懐から封書の束を取り出す。扇子といい、色々入ってる模様。


「逓信省が書いた討伐状だ」


「こんなに……」


 官製の書類らしく、封筒の大きさも全部そろった束を見て、コガネが声を漏らした。


 それを紅葉は机の上に広げて、ひとつずつ選り分ける。


「これは美妙びみょう。これとこれは俺がやる」


 宛名だけを見て、シズ子と一緒にてきぱきと作業する紅葉。それを見て、本当に偉い人なんだとコガネもようやく納得した。


 そして、荷物を片付け終えてぜーぜーと息をつく小波の方へ一通の封書を放る。


「それはおまえらがやれ」


「おまえ『ら』って……」


 どうやら紅葉は、コガネが小波と組むことになったのもシズ子から聞いてるらしい。


「俺もおまえらが組んでどこまでできるか期待してるんだ。できないとは言わねえよな?」


 ニヤニヤと笑みを浮かべる紅葉。どうやらお手並み拝見、といったところのようだ。


 だが。


「もうちょっとだけ休ませて。あと二日くらい……」


「えーと、オイラはともかく、アニキがまだ無理みたいです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ