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#二十六 配達員補佐(三)

「外注扱いだからそんなに高いお給料は約束できないけれど、それでも靴磨きよりはいいんじゃないかしら。どう?」


 シズ子がそう問うけど、コガネに断る理由なんかない。


「もももちろん喜んで! ぶっちゃけ靴なんか好きで磨いてるワケじゃないですし!」


「そうかもしれねえけど、多少は誇り持てよ」


 小波のツッコミは無視して、シズ子が続ける。


「それと住むところも探してあげるから、決まるまでは私の部屋に泊まりなさい」


「……いいんですか?」


「だって年頃の女の子を、公園や巌谷くんの部屋に寝かせるワケにいかないでしょう」


「俺の部屋は公園と同列かよ……」


 うめくようにつぶやくが、これも無視される。


「でも、どうしてオイラにそこまでしてくれるんだ?」


 条件がよすぎて、逆に不安になったコガネが尋ねる。


 シズ子は安心させるようにその手を取る。


「犯罪者予備軍の巌谷くんには、コガネちゃんみたいにしっかりした子がついていないとダメだから」


「あー……」


「コガネも納得するなよ!」


 小波は怒鳴りつつ、本題を切り出す。


「で、こいつが役に立ったってことは、牛鍋代は経費になるんですよね?」


「そうね、認めるしかないでしょう」


「よっしゃあ、やったぞ!」


 拳を突き上げて喜ぶ小波に、シズ子は別の紙を見せる。


「……それは?」


「請求書が来ているの。煉瓦と看板の」


「……」


 小波の動きが止まる。


「これは貴方たちが勝手に壊した分だから、経費には認められません」


「そんなあ!?」


 看板はともかく、牛鍋代よりも歩道の煉瓦を弁償する方が明らかに高くつく。


 反論しかけた小波を、シズ子が眼力で制する。


「今の報告で、それぞれどっちが壊したのかわかったから。お給料から天引きして返済にあてます」


「ひいいい!?」


 小波と一緒になって眼力に震え上がりながらも、貴方「たち」と呼ばれたことに嬉しさを感じるコガネだった。

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