#二十四 配達員補佐(一)
がごっ!!
鉄柱に頭から突進する形になった切裂惹狗。
そのまま地面に落ちる惹狗を、コガネは転がって回避する。
「大丈夫か!」
「なんとか……」
駆け寄る小波に、また腰が抜けたのか這い寄りながら答えるコガネ。
まだ手に持ってた匕首を投げ捨てて、ほとんど匍匐前進に近い有様。
小波はコガネをかばうように前へ立つと、完全に動きを止めた惹狗へ銃口を向ける。
「御伽創死――薄切麺麭」
「あがぁぁ」
力ない声と共に惹狗の身体は千々に散り乱れ、幼粘鬼のときと同様に雲散霧消する。
小波は討伐状に消印を押してから、改めて尋ねた。
「怪我はないか」
「うん」
うなずくコガネの頬に、小波の指先が触れる。そして。
ぐにーん。
「いひゃい、いひゃいよあにひ!?」
「うるせえ、無茶しやがって! 何かあったらどうするつもりだったんだ?」
コガネの頬を元気よく引っぱりながら、小波が怒鳴る。その後も延々説教をして、ようやく落ち着いたところでコガネが尋ねた。
「……ところで、コイツらって何なんだ? オイラも怪だけど、こんなやつ見たこともねえよ」
「俺も詳しくは知らねえけど、明磁になってから急にこういう凶悪なのが増えたらしいぜ」
「へえ」
小波もコガネも明磁生まれだから、それより前の時代はよく知らない。
だがそれでも、幼粘鬼や切裂惹狗の存在が異常なのはわかる。
この帝都東京で、何かよからぬことが起こりつつある。そんな不安を感じながら、コガネは尋ねた。
「な、なあ、オイラ少しは役に立ったかな?」
それを聞いて、小波は即答。
「ああ。少しどころか、今回はおまえのおかげで助かった」
「……へへ」




