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#十七 郵便局分室(四)

「それで、変なこととかされなかった?」


 改めてシズ子が問うと、コガネはさらに顔を赤くする。


「無理やり服を脱がされて……」


「やっぱり!」


 シズ子が眼鏡の奥で目を見開く。慌てて反論する小波。


「いや、それは洗濯するためだから! それに女だってわかってたら、無理やり脱がせたりなんてするはずが――」


「なかった?」


「もちろん!」


「本当に?」


「……たぶん」


「神に誓える?」


 首から下げた十字架を、小波の眼前に突きつけるシズ子。すると吸血鬼でもないのに小波が「う……」とうめき出した。


「……無理やりはしないけど、合意の上で脱いでくれたら嬉しいかなー、とは」


「……」


「……」


 女性陣ふたりの視線が冷たい。けどそんな視線に負けずに、小波は拳を振り上げて主張する。


「そんなことよりも! 今問題なのは、牛鍋代が経費で落ちるかどうかですよ。こいつに飯おごれるかどうかもそれ次第なんですから」


「えっ、じゃあ経費です、経費!」


 食い物につられて、あっさり小波の側に回るコガネ。だがシズ子の反応は鈍い。


「んー、でも巌谷くんの話だけだと、コガネちゃんがどのくらい配達に貢献したのかがよくわからなくって。これじゃ、ちょっと経費としては認められないかなー」


「そんなあ」


 情けない声をあげる小波に、シズ子は封筒を手渡す。


「だから、彼女が役に立つって証明して見せなさい」


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