秋のあなたへ
ゆっくりと静かな雨が降り始めた
渦巻く黒雲と暴風と豪雨が北へ去り
明るくて薄い雲からほのあたたかい水滴が落ちてくる
来週は冷たい雨が降るらしい
西風が吹いたら木々の葉は紅く染まり始めるのだろうか
窓を開け放った小さな部屋に
あなたは突然現れる
黒い瞳に白いカーテンが映って
赤いワンピースが風に揺れて
栗色の長い髪が胸に流れて
新しい季節が
微笑む瞬間を
僕は知っている
ー―――――――――――――――
あなたに会うのは何度目だろう
幼い頃のあなたはいつも笑っていた
思春期のあなたは冷たい素振りをしていた
去年のあなたは少し優しくて少し冷たかった
あなたは年々美しくなる