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もみじのようせい

掲載日:2026/10/04

 あるところに、もみじのようせいがいました。ようせいは、ひとりで、えんえんとないています。

 そこにおとこのこがきて、たずねました。


「どうしたの?」


 ようせいはこたえます。


「もうすぐふゆがくるのが、かなしくてないてるんだ。ふゆがきたら、きれいなもみじはかれてしまうから」

「ふうん、そっか」


 ずっとなきやまないようせいを見て、おとこのこはいいました。


「じゃあ、いっしょにあきを見つけにいこうよ」

「あきを?」

「うん。もしかしたら、ふゆになってもかれないもみじが、どこかにあるかもしれないよ」


 おとこのこはようせいの手をひいてあるきはじめました。ふたりの、あきをさがすぼうけんのはじまりです。


「ほら、見て」


 おとこのこはそう言って、どんぐりを見せてくれました。どんぐりはとてもかわいくて、ようせいはおもわずわらってしまいました。

 すると、あたりにいいにおいがしてきました。


「ねえ、なんのにおいかな?」

「これは、やきいもだ!」


 ようせいはいちもくさんにかけだします。そこにあったのはやっぱり、ほかほかのやきいもでした。

 ようせいは、すぐにでもたべてしまいたいのをがまんして、おとこのこにいいました。


「これ、あげるよ。きょうのおれい」

「じゃあ、はんぶんこね」


 ふたりでなかよくわけあったやきいもは、とてもおいしいあじがしました。


「あっ、ねえ見て!」


 とつぜん、おとこのこがこえをあげました。

 ふたりがかおをあげると、そこには、とてもおおきくてきれいなもみじが、ずらっとならんでいました。


「げんきは、でた?」


 おとこのこがききました。


「うん。ほんとうにありがとう」


 ようせいはそれを見て、とてもうれしいきもちになりました。

 けれど、おとこのこはなきだしてしまいました。


「どうしてないているの?」

「じつはね、ぼくはゆきのようせいなんだ。ふゆになったら、きっとこの、きれいなもみじもぜんぶかれてしまう」

「そんなことないよ!」


 もみじのようせいはさけびます。


「こんなにいっぱいあるんだもん、ゆきがふったってきっとかれないさ!」


 ゆきのようせいはむねがいっぱいになって、なきながらわらいました。


「もしそうなったら、きょうみたいにまたあそぼうよ!」

「うん、ありがとう。きっとだよ」


 もみじのようせいと、ゆきのようせいはこゆびでやくそくをしました。


 やがて、ふゆがきて、ゆきがふりはじめました。

 ゆきのなかでいっぽんのもみじが、きれいにさいていました。

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