もみじのようせい
あるところに、もみじのようせいがいました。ようせいは、ひとりで、えんえんとないています。
そこにおとこのこがきて、たずねました。
「どうしたの?」
ようせいはこたえます。
「もうすぐふゆがくるのが、かなしくてないてるんだ。ふゆがきたら、きれいなもみじはかれてしまうから」
「ふうん、そっか」
ずっとなきやまないようせいを見て、おとこのこはいいました。
「じゃあ、いっしょにあきを見つけにいこうよ」
「あきを?」
「うん。もしかしたら、ふゆになってもかれないもみじが、どこかにあるかもしれないよ」
おとこのこはようせいの手をひいてあるきはじめました。ふたりの、あきをさがすぼうけんのはじまりです。
「ほら、見て」
おとこのこはそう言って、どんぐりを見せてくれました。どんぐりはとてもかわいくて、ようせいはおもわずわらってしまいました。
すると、あたりにいいにおいがしてきました。
「ねえ、なんのにおいかな?」
「これは、やきいもだ!」
ようせいはいちもくさんにかけだします。そこにあったのはやっぱり、ほかほかのやきいもでした。
ようせいは、すぐにでもたべてしまいたいのをがまんして、おとこのこにいいました。
「これ、あげるよ。きょうのおれい」
「じゃあ、はんぶんこね」
ふたりでなかよくわけあったやきいもは、とてもおいしいあじがしました。
「あっ、ねえ見て!」
とつぜん、おとこのこがこえをあげました。
ふたりがかおをあげると、そこには、とてもおおきくてきれいなもみじが、ずらっとならんでいました。
「げんきは、でた?」
おとこのこがききました。
「うん。ほんとうにありがとう」
ようせいはそれを見て、とてもうれしいきもちになりました。
けれど、おとこのこはなきだしてしまいました。
「どうしてないているの?」
「じつはね、ぼくはゆきのようせいなんだ。ふゆになったら、きっとこの、きれいなもみじもぜんぶかれてしまう」
「そんなことないよ!」
もみじのようせいはさけびます。
「こんなにいっぱいあるんだもん、ゆきがふったってきっとかれないさ!」
ゆきのようせいはむねがいっぱいになって、なきながらわらいました。
「もしそうなったら、きょうみたいにまたあそぼうよ!」
「うん、ありがとう。きっとだよ」
もみじのようせいと、ゆきのようせいはこゆびでやくそくをしました。
やがて、ふゆがきて、ゆきがふりはじめました。
ゆきのなかでいっぽんのもみじが、きれいにさいていました。




