第3話 俺が彼女を守りたい
モニカが到着する数時間前──。
「俺が結婚する……?」
「そう。お兄様の机の上に開けかけの封筒があったから中身をみたら、お兄様への結婚の話が入ってたの」
オリヴェルと妹のリリィが執務室で話をしている。
彼は片付けるのが滅法苦手で時折こうして妹が掃除と片付けをするのだ。
オリヴェルに届いたのは国王署名付きの文書であり、どうやらもうすでに結婚の話がすすんでいるようだった。
「困る。俺はまだ二十四歳で自由に論文書いて研究したい。結婚は後でもいい」
「でも、もう奥さんになる人こっちに向かっているらしいよ。それに、結婚を断るのは辞めたほうがいいかもよ」
「なぜ?」
「ほら」
そうして結婚相手のプロフィールを見た途端、オリヴェルは目をパチクリさせた。
「え、え!? どうしてモニカが!?」
「わからないけど、お兄様の結婚相手、あのモニカ様みたいよ」
「嘘……何かの間違いじゃ……」
「残念ながら本当」
先程までの冷静さはどこへやらといった様子でオリヴェルは慌てふためく。
「どうして彼女が! え、でも彼女は無理矢理結婚させられているとかじゃ……」
「じいが調べた感じだと、モニカ様はアイナ様に毒を盛った罰としてうちに嫁いでくるらしい」
「そんな! モニカ様が毒を盛るなんてそんな……」
「恐らく冤罪だと思う。けど、冤罪を晴らすためにも証拠が必要で時間もかかる。というより、うちがいつまでも忌み嫌われる対象なのに、私は腹が立っているけど」
「それは一日やそこらで解決できる話ではないよ」
オリヴェルは写真立てに映っている両親の姿を眺めた。
彼らの両親はすでに事故で亡くなっている。
「とにかく、もしお兄様がこの結婚を断ったら大好きなモニカ様は牢屋に逆戻り。それに、結婚を断られた令嬢って傷がつく。だから……」
「させない。彼女を傷つけることはさせない」
オリヴェルは覚悟を決めた目をすると、彼女のプロフィールを握り締めて言う。
「俺が彼女を守りたい。俺のことを好きになってもらわなくてもいい。だけど、彼女が安心できる居場所を作る。それが俺の使命だと思う」
その頼もしい言葉にリリィは笑みを浮かべた。
「さすが、私のお兄様。では、今からモニカ様を迎え入れる準備をしましょう」
「ちょっと待って! モニカと挨拶するの緊張してきた……」
「お兄様、モニカ様は今からお兄様の妻になるのよ?」
「妻……そうだよね……」
「まあ、いいわ。練習しましょう。きちんとノルデン邸一家でモニカ様を守りましょう」
「ああ、ありがとう」
そうしてモニカが到着するのを待ったのだった──。
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モニカが到着する前のお話でした~!




