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第6話 濡れた足音

非常灯の下、足音は確実にこちらへ近づいてくる。

 ぴちゃ、ぴちゃ……と、水たまりを踏むような音。

 だが廊下に水はない。床は乾いているはずなのに。


 中村が怯えた顔で後ずさりし、俺の袖を強く掴んだ。

 「おい……あれ、足……裸足だぞ」


 視線を落とすと、角の向こうから伸びる二本の白い足。

 血の気のない皮膚が非常灯に照らされ、滴る雫が床に落ちて消えていく。


 その奥に――顔は見えない。

 長い髪が前に垂れ、うつむいた影がゆらりと揺れた。


 斎藤が低く呟く。

 「三年前……この施設で夜勤中に失踪した入居者がいたんだ」


 俺は息を呑む。ニュースにならなかったのか?

 「警察も来たさ。だが遺体は見つからなかった。……それが今、消灯後に現れる」


 足音が止まった。

 次の瞬間、うつむいたままの影が――あり得ない速さで、こっちに駆け出してきた。

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