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第42話 消えた斎藤
山崎の部屋を出た帰り道、駅前の雑踏の中で中村は見覚えのある後ろ姿を見つけた。
――斎藤。
慌てて駆け寄ると、彼はふっと振り返り、笑った。
「やっと戻ったか。……でも、お前、もう“完全”じゃないな」
中村が問い詰めようとすると、斎藤の輪郭はぼやけ、街灯の光に溶けていく。
その瞬間、中村の耳に低い声が響いた。
「選んだだろ、“一緒に帰る”って。代償はこれからだ」
気づけば、斎藤は完全に消えていた。残されたのは、足元に落ちた一枚の古い社員証――そこには、10年前の日付と共に「行方不明」と印字されていた。




