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第33話 光を纏う者

 「……先輩……?」

 中村の声が震える。

 白い外套の人物は、こちらを一瞥して小さく笑った。


 「お前たちを助けに来た。遅れて悪かったな」


 仮面が低く笑う。

 『異邦の者……どうやってこの領域に踏み入った?』


 先輩は剣を構え、淡々と答えた。

 「お前たちが閉じた扉――別の鍵穴から入っただけだ」


 その刹那、仮面の周囲に黒い靄が渦巻く。

 次の瞬間、鋭い影の槍が幾本も飛び出し、先輩を貫こうと襲いかかる。


 ガキィン!

 光の剣がそれらを弾き、周囲に閃光が散る。

 爆ぜるような音と共に、床に刻まれていた儀式陣の光が一部かき消された。


 「今だ、中村! 儀式の中心から離れろ!」

 先輩の声が響く。


 だが中村は動けなかった。

 半身の“もう一人の自分”が、無表情のままこちらに手を伸ばしてくる。

 その手が、どこか寂しげに震えていた。


 奈央が叫ぶ。

 「中村! 早く!」


 ――ブワッ!

 仮面が手をかざし、再び儀式陣が赤く光る。

 『逃がさん……この取引は終わっていない』


 先輩は一歩前へ踏み込み、光の剣を振り下ろした。

 床を割るほどの衝撃波が走り、儀式陣の半分が崩れる。

 同時に、半身の姿も揺らぎ始めた。


 「……決めろ、中村!」

 先輩の声は鋭く、それでいて温かかった。


 中村は唇を噛み、震える手で――半身の手を取った。


 「一緒に……帰る」


 瞬間、儀式陣が白く弾け、爆風が全員を包み込んだ――。

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